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ほたるの川のまもりびと

テーマ:田中ブログ

ほたるの川のまもりびと
先日、ぶんぶんフィルムズ(天然住宅の映像を作っていただいた)が
新たに配給する作品「ほたるの川のまもりびと」の試写会に伺わせていただきました。

佐世保の石木ダムの計画に何十年にもわたり反対してきた、13世帯54人の物語です。

本来なら、怒りの映画になるはずの物語。
ところが、理不尽や不合理、新たな情報や事実、数字やデータを伝えることをあえて抑制するかのように、
人の「暮らし」を丁寧に描いているドキュメンタリー映画です。
ドキュメンタリーらしからぬドキュメンタリーともいえるかもしれません。

ときに怖い印象も与えるような顔の見えないはずの反対運動をされている方々にも、
(当たり前だけど)生活があり、家族がいて、個性がある。そのことに改めて気づかされ、愛着がわいてきます。
村の方々の穏やかなキャラクターも相まって、人々の暮らしの豊かさや尊さが、際立っています。

共感は、むしろこのようにして育まれるのかもしれません。

村の人々をあげておこなう「ほたる祭り」。
手作りのお祭りは個性的で、地域の特色が色濃く表れ、各地から観光客が訪れます。
いつもは静かな川のほとりが、この夜ばかりはにぎやかに光ります。

川面に映るお祭りの電飾の光が、まるでほたるの光のような儚さをたたえます。
人の営みがこんなにも儚く、尊く映るなんて。

「故郷」をなくすということがどれほどに悲しいことか。
その美しい自然と、風景を守っている人々の暮らしがどれほどに尊いものか。

この映画を儚い物語にしたくない。

まだこの意味のないダム計画を止められる可能性はあります。
まずは、7月7日からユーロスペース@渋谷にぜひ観に行ってください!

予告編動画


賃貸だってあきらめたくない、住み心地や住む環境のこと

テーマ:井上ブログ

こんにちは、スタッフの井上です。
 
3月下旬、娘が小学校にあがるタイミングで引越しをしました。
ちょうど一年ほど前、多摩川の河川敷を友人とさんぽしたことがありました。(その時の記事は『こちら』です。)

都会だけれど、建物にさえぎられることなく、遠くの空まで見渡せる心地よさにすっかり魅せられ、いつかこんなところに住んでみたい。そう思ったのでした。

 
「こんなところに住みたい」という気持ちは、それからずっと胸の中にありました。
年明けから本格的にはじめた物件探しでも、キーワードは「多摩川」。その他の条件はあまり気にせず、「こんな景色を見て、毎日暮らしたい。子育てがしたい」と心がぐっと動く出会いを追い求めました。
 
そうして出会えた家は、まさにイメージ通り!
川の近くでさえぎるものが何もないから、風の強い日は家の中にいてもその音に怖さを感じたりと、もちろんいいことばかりではないですが、引っ越してよかったなぁと日に日に思う自分がいます。

多摩川の河川敷
▲こんな景色がそばにあります。私たち親子曰く、ここは「我が家のお庭」です(笑)井戸水やツリーハウスもあり、泥んこあそびも木登りもできちゃいます。
我が家は賃貸ですが、少しでも「天然住宅」の住み心地に近づけたくて、既存のフローリングの上に無垢杉材を敷いています。以前の家でもそうしていましたが、やはり杉の木は気持ちがいいです!  
体を大の字に、ごろんと直に寝そべることも多いし、夏は裸足で歩いてもべたつきません。冬は合板のフローリングより断然あたたかいです!
無垢杉フローリング
▲before
いわゆる一般的な合板のフローリングです。その上に無垢杉を置いて(はめて)いきます。釘は使いませんので、素人でもできそうですが、こまかなおさまりなどきれいに仕上げたかったので、職人さんにお願いしました。

無垢杉フローリング
▲after
写真だと杉の節が目立って見えますが、経年変化で木の色は濃くなっていくので、暮らしている分にはあまり気になりません。もちろん節なしの材を選んでもいいのですが、節ありのほうがお値段が安めなので、そちらを選びました。
多摩川河川敷
▲休みの日は、朝早く起きてむすめとお散歩。朝ごはんを持って、外で食べるのも気持ちいいです。
土手すべり
▲ダンボール1枚あれば土手すべりで大人もかなり楽しく遊べます(笑)
家づくりの仕事にたずさわる者として思うのは、どんな家に住むかはとっても大切だ!ということです。でも思います。どこに住むかもやっぱり大切だよね、と。やっぱり両方、切り離して考えることはできません。
 
食べ物が自分のからだを作るように、毎日目にする景色や歩く道は、自分の心の深いところに作用する。ゆっくりと静かに、でもあなどれないほどじわじわと効いてくる。 
日々の通勤で、洗濯物を干している時にも、ふとした時にそう感じます。
力をくれるというか、整えてくれると言うべきか。
 
地方の自然豊かなところに住んでいる方にとっては、きっと物足りない光景かもしれませんが、これまで住宅街に住んでいて、暮らしの中で見晴らしのよさを感じられずにいた私にとっては、この景色はけっこう贅沢なもののように思います。
 
最近の楽しみは、娘が寝た後にベランダで夜風にあたりながらビールを飲むこと。ビールがアイスに変わる日もあります。
あたりは暗いけれど、遠くに光るビル群の明かりがちょっと幻想的で、見ず知らずの誰かの暮らしに思いを馳せたりしています。そんなひと時もよいものです。
 
ここでの暮らしは、まだまだはじまったばかり。季節の移ろいとともに、もっともっと楽しみを見つけていきたいなと思っています。

家づくりのアイデア帖VOL.9

テーマ:井上ブログ

オーダーメイドキッチン

憧れの、オーダーメイドキッチン

使い勝手も申し分なく、コストパフォーマンスも高いシステムキッチン。けれど心のどこかでオーダーメイドのキッチンに憧れを抱いている方も多いのではないでしょうか。
 
より自分の使い方にフィットしたものを。こんなガスコンロを、こんな水栓を、こんなタイルを・・
理想をあげればきりがないかもしれませんが、毎日多くの時間立ち、作業する場所ですから、優先順位を上げて、こだわってみてもいい部分かもしれません。
 
今回のテーマは、「オーダーメイドキッチン」です。たくさんの写真とともに、お届けします!
オーダーメイドキッチン
▲無垢杉材とステンレスの天板。とてもシンプルなキッチンです。シンク下をオープンにすれば、コストを抑えることにもつながります。建主様のご要望で、コンロはビルトインではなく、卓上コンロを置きます。吊戸棚は設けず、棚板一枚の潔さ。目の前の公園、そして桜がきれいに見えるよう、借景を意識した配置です。
オーダーメイドキッチン
▲こちらはしっかりと収納スペースをつくっています。シンク下はオープンにし、ごみ箱などを置くスペースとしています。無垢杉材で吊戸棚もつくりました。収納量ばつぐんです。
オーダーメイドキッチン
▲天板は真っ白なタイルを。シンクも色を合わせて。ナチュラルな風合いになっています。造作キッチンは使う方の身長に合わせてシンクやガス台の高さも自由に決めることができるのがいいですね。
オーダーメイドキッチン
▲床は木でなく、タイル貼りに。引き出しの取っ手や立ち上がりの部分のタイルをホワイトに統一、調味料を置くスペースなど、細かなところに建主様のこだわりが感じられます。
アイランドキッチン
▲木製のアイランドキッチンです。回遊性がありますね。料理をしながら、後片付けをしながら、夫婦で、親子で、向かい合いながら会話を楽しめる、キッチンが家族にとってのコミュニケーションの場にもなりそうです。
オーダーメイドキッチン
▲こちらは天板に御影石を選びました。重厚感のある、落ち着いた雰囲気になりますね。
オーダーメイドキッチン
▲水栓が特徴的なキッチンです。シンクの奥に水切りかごを置きたいというご要望で設計しました。建主様からは使いやすいと好評です。
オーダーメイドキッチン
▲マンションリフォームの実例です。手前のカウンターは作業をしたり、朝食をとるスペースにもなっているそうです。
オーダーメイドキッチン
▲タイルが特徴的なキッチンです。料理教室をされる建主様のご要望で、作業スペースもしっかりととったキッチンになっています。
土間キッチン
▲野良仕事にはげむ建主様のご要望で、土間キッチンにしました。シンク下のスペースも可動棚などを使って上手に使われていますね。

毎日、誰かが立つ場所だから

いかがでしたか?
 
冒頭でもお伝えしましたが、キッチンは毎日誰かが必ずといっていいほど立つ場所です。そして炊事は、家事の中でも比較的多くの時間を占めますね。そんな場所を自分好みの空間にできたら・・
 
機能面での充実、見た目の好み、人それぞれに分かれそうですが、こんなところからも家づくりの楽しみを見出していただけたら嬉しいです。
 
最後までご覧いただき、ありがとうございました!

続・大河内さんという人

テーマ:田中ブログ

見樹院の大河内さん
先日、未来バンクと天然住宅バンクの理事が集まって食事する機会がありました。

天然住宅の代表、田中優のまわりには本当に優秀な方々がたくさんおります。
様々な取り組みを実現できたのはほかでもなく周りの人たちのおかげなんだと、実感します。

その中でも、私も小さいころから知っている大河内さんは、
田中優の盟友ともいえる方で、天然住宅が発足してからも、その思いに共鳴してくれて、
いろいろな試みを一緒にさせていただきました。

先日、田中優の記事が東京新聞に掲載されたとき、
ありがたい文章とともに、Facebookでその記事を紹介してくれました。
その紹介文がとてもうれしい文章でしたので、こちらに転載させていただきます。



「20年来の」と言ってきたがすでに「30年来」となった盟友・親友の田中優氏。地域の仲間として、同じNGOsの役員として、優さんに導かれ、事業活動運動に取り組み、多くのかけがえのない人々と出会い、山に分け入り、水に浸かり、汗を流しながら、あるべき生き方の手ごたえを感じ、同じ未来を目指してきた。

私がベースとしている2つの寺がめざすのは、本尊阿弥陀如来の48の誓願が成就した、すべての人が尊重され平和が実現する極楽浄土であるが、その理想に続く実践は「田中優菩薩」の願いの力によるところが大きい。

20年前に建設した寿光院も化学物質を極力使わない、昔からある天然素材にこだわり、ダムや原発の過剰な電源開発を抑制するため昼間のピーク時に威力を発揮する太陽光発電施設を設けた。

その後も、市民自らが主体となってこれからの住まいとコミュニティを創造する、高齢者共同住宅「ほっと館」。「子どもの権利」を支えるための「松江の家」のオフグリッド化。などなど、残したい未来、希望ある未来のために、優さんをはじめみんなで積み上げている理想を、微力ながら何とか形にしようと取り組んでいる。

小石川見樹院の建て替えにあたっては、企業のデベロッパーは入れず、NPOと一般社団、そして宗教法人という非営利団体によるコラボで、ケミカルフリーで長寿命かつ「共」のコミュニティの社会資本を目指す共同住宅と寺院の複合施設「スクワーバ見樹院」を、「天然住宅」仕様の建物として参加者を募り、コーポラティブ方式で建築した。

当然ながら、「そんなのは無理、絵空事」と言う人の声もたくさんあった。しかし、人が、いのちが、本当に望むことは必ず実現できる、否、実現しなくてはならないと、夢をあきらめない仲間の力、そして優さんたちと実現してきた(もちろん失敗も多々)これまでの手応えに培われた確信と、この事業に賛同し、あるいは信じて支えてくれた檀信徒はじめ関係者の「未来への願い」が積み重なって完成した。

この「天然住宅」に自分自身が暮らし、またこの寺に夢ある人々が集い、いのちの本質的な「願い」に立脚した理想「無核無兵の浄土」を、生き方の中に見出そうとする同志のサンガの広がりを感じている。「懐かしい未来」として注目されるコミュニティとつながる「ジュレー・ラダック」が入っていることも大きな学びと可能性を与えてくれる。

実は今、スクワーバ見樹院が建ち上がった後に提供された隣地に、「天然住宅」によるシェアハウスを建築できないかと考え、「天然住宅」のスタッフと具体的な可能性の検討に入った。物理的には8~9部屋の居室と、事務・集会スペースとつながるLDKなどを備えた、ケミカルフリーで長寿命の建物となりそうだ。もちろん見樹院の施設ともつなぐ。「願い」と「志」、そして未来への可能性と責任を持ち続けるコミュニティの社会資本として残していきたい。

間取りや機能、資金調達、参加形態や運営方法など、多くの方々のお知恵をいただき、市民参加で進めていければと思っています。ご関心のある方、こんなところなら住んでみたいというアイデアのある方、ぜひご連絡ください。



共有する志はたくさんありますし、
何より大河内さんの願いを実現していきたいと強く思います。

記事の中でもあったような試みをともに始めようとしています。
進捗についても今後随時お伝えしていけたらと思います。

ぜひ、ご期待ください!

【余談】
時を同じくして、田中優も「大河内さんという人」というコラムを書いていましたので、
大河内さんに伝えたら、「褒めあってどうする!」と言っておりました。笑

「わたしを離さないで」カズオ・イシグロ

テーマ:田中ブログ

わたしを離さないで
日の名残りに続いて、カズオイシグロの「わたしを離さないで」読了しました。

映画やドラマにもなっているようなので、ご存知の方もいらっしゃると思いますが、
主人公のキャシーは、「提供者」と呼ばれる人の世話をするヘールシャム出身の「介護人」です。
キャシーの語りで、話が進み、だんだんと真実が明かされていきます。

そして私がこれから読みはじめる皆様に一番お伝えしたいことは、
「ヘールシャム」を絶対に検索しないでください!ということです。

上で、何気なくヘールシャム出身と書きましたが、
ヘールシャムは地名ではありません!実在しません!

序盤、キャシーはそのヘールシャムという場所で日々を過ごしているのですが、
ヘールシャムについて直接的な説明はなく、しばらく進んでいきます。
私は、イギリスの地名なのかと思い、軽い気持ちでググってしまったのですが、
かなり後悔しています。
一番上に表示されるウィキペディアに重大な真実が書いてあるので、お気をつけください。
ぜひ、何も知らずにドキドキして読んでいただきたいです。



小説の中で「すべての遺失物が集まる場所」として、ノーフォークというところがでてきます。
これは、地名です。ご安心ください。

先ほどまでここにあったはずのものが、なぜかないときがあります。
誰も盗んだりしていないのに、確かにそこに置いたのに、どこを探しても、なくなるはずもないものが、なくなってしまうことが。
失ってしまったもの、それらはノーフォークに集まっているのです。

本を読んだ後、解説などを読んで知ったのですが、
イギリスの「ロストコーナー」つまり「忘れられた土地」とかかっていたみたいです。
それを子供たちのとらえ間違いか冗談が言い伝わってこのように解釈されているということみたいです。

でもこのとらえ違いが、キャシーにとってとても大切な役割をすることになるというところが乙です。

村上春樹の分電盤のように、サリンジャーのライ麦畑のキャッチャーのように、
人には、ノーフォークのような場所が必要なのです。



また、この小説のテーマが現在においても、新鮮なテーマであり、
その点においても読む価値があります。
ありえない(あるいはもうすでにある?)設定の中で、
細かな人間関係の描き方に、作家の底力を感じさせます。
全体を通じて、せつなくて、むなしい、重い空気感があり、
それが読後も、心にずっしりと残ります。

そしてそのテーマこそ、ヘールシャムを検索するとすぐにわかるテーマなのです。
ぜひ、事前になんの情報も入れずに読んでください。
ここまできて言うのもナンですが、このブログもできれば読まないほうが良いです。



それから、ぼーっとしながらカズオイシグロを検索すると、
間違ってノゾミイシグロを検索してしまうこともあります。
こちらも世界的に有名な方ですが、併せてお気を付けください<(_ _)>