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第41回 年収300万円台からのマイホーム

非営利の銀行「天然住宅バンク」

 天然住宅は、非営利の「NPOバンク」と呼ばれる「天然住宅バンク」を持っている。住宅を建てる融資に特化して、2%の単利固定の融資を行うことで、建てたい人をサポートしようと考えて設立したものだ。これが結構役立っている。銀行のローンでは通常、住宅の引き渡しまで融資がされない。 ところが家を建てるときは、最初に三分の一、途中に三分の一、引き渡し時に三分の一ずつ分けて払うのが通常だ。ところが引き渡し時まで一銭も貸し てもらえず、「つなぎ融資」がない場合には、金利が安くて狙い目の「フラット35」のような融資を受けることができなくなってしまう。

 そういうとき、天然住宅バンクが役立っている。住宅ローンの審査自体は「フラット35」の審査を通っているのだから問題はない。ところが引き渡し時までの短期融資分がネックになってしまう。そんなところにも天然住宅バンクが融資している。

 ちなみに住宅を建てた我が家の場合は、残念ながら融資を受けられない。天然住宅バンクを理事長の自分が利用したのでは、情実融資の可能性が出てしまうためだ。設立した自分が使えないのは何とも残念だが、これもフェアな運営のためなら仕方ない。

ヴィンテージ住宅担保融資

住宅担保融資「ヴィンテージローン」
 以前に話したことだが、その天然住宅バンクで住宅を担保にする融資を始めることにした。普通なら15年経った家の資産価値はゼロになってしまうが、天然住宅なら300年もつ住宅を目標に建てているのでビクともしない。化学物質ゼロで長寿命の住宅だから、買いたいと思う人もたくさんいる。 それなら、他の住宅の担保価値がゼロになる15年後に、天然住宅が300万円以上の価格で買いたいと思う人を探せばいい。そうすれば15年後に 300万円での買取ができるではないか。

 そう考えて作った制度が「15年後の住宅担保融資」なのだ。今の時点で300万円を融資し、15年後にローンを開始するか、家を天然住宅側に売り渡すか、他に売却して300万円を返済するかの選択をすることができる。生活は住宅を建てた時点が一番厳しくなる。それならその時点に融資し、 後からゆっくり考えた方がいい。他のボロボロになってしまう住宅と比較すると、実質的に300万円の値引きと同じ効果があるのだ。

年収300万円台からのマイホーム

 この融資を受けたい人が現れたので、先日面談した。素晴らしい人で、こちらから頼んででも融資したくなるような人柄だった。ただし住宅を担保するとなると、普通は抵当権を住宅に設定しなければならない。それをしなくてすむような仕組みを考えて融資することにした。内容は返済期の15年後 までに100万円程度の返済をしてもらうことで、通常の連帯保証人の担保だけにしたのだ。なぜなら残額200万円なら、担保のいらない範囲だからだ。

 これによって、年収が300万円台の人が天然住宅を建てられることになった。 もちろんやや地方で、高くない場所を選んだおかげでもあるが。金融を市民の手に取り戻せば、こんなことも可能になる。金融の仕組みをもっと広げていくことで、様々な不都合を解決していきたいのだ。

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