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第52回 いびきが消えた

いびきをしなくなった

 天然住宅仕様の我が家に住み始めて、違いに気づいた。連れ合いに「最近いびきをしなくなった」と言われたのだ。以前にスギの低温乾燥したものを枕元に置くと、いびきがなくなるという話は聞いていた。でもぼくの手強いいびきに効くとは思えなかったので、話半分に聞いていた。もうひとつ違いが出たことがある。「睡眠時無呼吸症候群」と呼ばれる、眠っているときに一分ぐらい息をしなくなる現象の方もなくなったというのだ。残念ながら寝ているぼくには確認のしようがないのだが。

フィトンチッドの効用

 しかし「フィトンチッド普及センター」のホームページを見てみると、こんなことが書かれている。「松林の空気中からはαーピネン、βーピネン、ミルセン、サビネンなどのテルペン類が検出されます。これらの生体への影響について国立環境研究所の小林博士らが「αーピネン、βーピネン」には気管および血管の平滑筋の弛緩作用があることを報告しています」と。
http://www.phyton-cide.org/series5.html

 「気管平滑筋の弛緩作用」と言われると難しいが、要は喘息用の発作のときに使う「気管拡張剤」同様の効果があるということだろう。それ以外にも鼻腔にも作用しているのではないか。

 ここには「α、β-ピネン」がマツの話として載っているが、そもそも針葉樹に多く含まれ、我が家で使っているスギやヒバにも含まれている。ただしそのフィトンチッド(樹木などが発散する化学物質で、微生物の活動を抑制する作用をもつ揮発性物質)は精油分に含まれるのだから、高温で乾燥させてしまっている普通の木材には含まれない。だから普通に使われる木材では、何の効果もないのだ。
低温乾燥材のフィトンチッド
低温乾燥の杉フローリング、内装材

天竜ドライウッド

 こんな話をまとまって教えてくれたのは、「天竜ドライウッド」代表の榊原さんだった。しかし昨年、残念ながら亡くなられてしまった。天竜ドライウッドでは、天然乾燥にこだわって低温乾燥すらせず、木を切り倒してから数週間放置する「葉枯らし」をし、科学的な根拠を持って「月齢乾燥(新月伐採)」を行っている方だった。素晴らしい人だったのに亡くなられたのが残念でならない。

 木を知る人が減っていくのは損失だ。人間よりはるか前に生まれている木の性質をもっと知らなければ、良い家も造れなくなる。
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