暮らしはじめて丸1年
三島市に暮らす建主様の家を訪問しました
土間のある平屋建ての家に、ご夫婦と2人のお子さまと住んでいるWさま。
敷地内には林があり、リビングからは山も望めます。
お茶タイムも、すいかを食べるのも、おもちゃを広げて遊ぶのもウッドデッキ。
到着早々、「よかったらウッドデッキで珈琲でも」とお誘いいただきました。
ウッドデッキはご家族だけでなく、来訪者の憩いの場にもなっているようです。
この景色を見て日々を重ねたら、自分の心はどんな風に育っていくだろう。
そんなことを思わずにはいられなくなるような、気持ちの良い眺めでした。
Wさまが天然住宅を知ったのは6年前、奥さまが田中優の講演を聞いたのがきっかけです。
田中優自身が、岡山に天然住宅を建て、電気を自給する暮らしを送っています。
「人に勧めるだけでなく自ら実践していること」が、会社の信頼につながったそう。
「色々なメーカーや工務店の見学会にも参加しましたが、天然住宅さんのお宅は新築特有のケミカルなにおいがせず、空気が気持ちよかった。それが決め手になりました」。
家づくりに際し、Wさまも電気を自給する生活を選びました。
「我が子や、我が家を訪れる子ども達が、電気を自給する暮らしを身近に感じてくれたら」。東日本大震災での原発事故を機に、そんな思いを抱くようになりました。
気になる生活ですが、梅雨時期も今のところ電気が足りなくなることはありません。オフグリッド前と比べても、不便なく暮らしているそうです。
ちなみにガスはプロパン、水道は市から引いていますが、外で使用する水は、周りの農家さんが共同で使っている山から引いた水を契約し使っています。
災害時でも、電気、ガス、水道のインフラに困らないで暮らせることは、日常の安心感につながっていると教えてくれました。
住み始めて2年。リビングでは友人親子と小さな音楽会を開いたり、クリスタルボールを使ったヒーリング会や、仲間内での学習会など、Wさまの家にはたくさんの人が集います。
写真を見ていただいても分かるように、広い玄関土間からは、キッチン、リビングダイニングがつながっています。天井も高く、開放感のある空間は、訪れる方達にも好評のようです。
訪問した日は、家の写真を撮らせていただくべく、営業の田中、カメラマンと一緒に伺いました。
昼食時には、スパイスの効いた美味しいカレーをご馳走していただきました。
食事をしながら、Wさまの「食への想い」についても聞いてみることに。
Wさまは普段、「生活クラブ生協(以下、生活クラブ)」を利用しています。
生活クラブとは、無添加・国産・減農薬にこだわった、安全で安心な食材を届ける宅配サービスのことで、食材の開発には、消費者(組合員)も積極的に関わっているそう。
生産者は消費者の要望に応えられるよう努力し、組合員はその生産者を、買い物を通して支えます。
原発事故後は独自の基準を設け、放射能の自主検査も行い、結果を組合員に伝えてきました。
当時、食の不安を拭うべく、生活クラブを利用されていた方も多くいらっしゃったのではないでしょうか。
出していただいた食事にも、生活クラブの調味料が使われていました。
カメラマンも「おいしい!」と絶賛。後から調味料だけ、味見させていただいたほどです。
実は他の建主様の中にも、生活クラブを利用されている方は多く、日頃から食の安全を気にされたり、生産者を応援したいという思いを持ってらっしゃる方が多い印象です。
私はというと、興味はあるものの、なかなか申込みまで踏み込めずにいました。
かさばる発砲スチロール箱の置き場や、毎週ちゃんと注文できるかなど、「食」以外のところにハードルの高さを感じていたからです。
けれどWさまとお話して、「安全で美味しいものを食べたい(子どもに食べさせたい)」という純粋な動機を、もう一度大事にしたいと思いました。
帰宅後すぐに申込み、晴れて生活クラブユーザーとなったのでした。
後日、Wさまにはホームページに掲載する「お客様の声」に文章を寄せていただきました。
その中で印象的だった言葉があります。
「私たちもいくつかのメーカーや工務店の見学会、住宅展示場を家族で回り、自分たちがどういう家に住みたいのかについて沢山考え、悩みました。 最終的に自分たちは、私たち家族の健康を最優先に考えました」。
ご家族の大切にしていることが、食や住まいといった暮らしの選択に通じていると感じました。 生活クラブを選ぶ気持ちも天然住宅を選ぶ気持ちも、どちらも「家族の健康」を願った時の、ゆずれない、切実でいて希望のある選択なのだと思います。
そして、こんなことも書かれていました。
「見た目の豪華さや、コストパフォーマンスからは見えてこない、自然や森を守る思いにも賛同しています。自分たちが栗駒の木材を選んだことで、森を守るお手伝いが出来たこと、林業に携わり真面目に仕事をして下さる方に自分たちのお金を回せたことも嬉しいです」。
天然住宅の建主様は、やさしくて寛容な方が多いと感じます。なぜかというと、家づくりの選択を「自分たちが住みたい家を建てる」という軸以外のところで考えている方が多いから。Wさまがおっしゃった言葉はまさに天然住宅の理念に通じる部分。森や森を守る人たちにお金がまわり、長い目で見て自然環境を守る家づくりを目指す私たちの想いに共感していただけたことを、とても嬉しく思いました。
Wさまの家はとにかく明るく賑やかで楽しそうでした。
よく食べ、よく遊び、よく笑う子どもたちが、のびのびと健やかに育っている様子が印象的で。
私たちも居心地が良くてずいぶんと長居し、そしてたくさん笑いました。
Wさま、この度は素敵な暮らしを見せてくださりありがとうございました。
また、ご訪問させていただける日を楽しみにしています
(2019年7月執筆 テキスト:井上)