この建てものについて
外壁:そとん壁
壁:漆喰
天井:くんえん杉、漆喰
洗面:ホーロー洗面化粧台、造作
風呂:ステンレスユニットバス
建主様が育った思い入れのある家の建て替えです。
愛着や思い出が詰まった、大事に使われてきたことがわかるお住まいでした。様々な理由から建て替えをすることになりましたが、暮らしの面影を残したいと考え、「記憶をつなぐ家」を建てることにしました。
もともとあった暮らしの風景を新しい家でも感じとれるようにと考え、お庭とリビングの関係、建物の外形や配置など、以前のコンセプトをそのままに、今の生活に合わせて、アップデートする計画です。
建物がプライベートな坪庭を囲むように配置され、リビングからは、そのお庭を眺めることができます。リビングに座って、お庭を眺めながら、昔の面影を感じてもらえたら、と想像しながらお話を進めました。
建物と道路側との関係性にも、街並みへの配慮を失くさないように、
また、玄関とちょうどよい距離感をとれるように、設計しています。
建築にあたり、木材の産地である栗駒まで足を運んでいただき、ご家族で、家に使う構造材を伐採してきてもらいました。伐採した木は、家の中心に配置し、リビングでいつも眺められる場所にあります。
杉を中心にたくさんの樹種を使用しています。LDKのフローリングは杉とサクラを使用。水回りの床にはクリ、下駄箱の天板にはケヤキを使用しました。すべて国産の無垢材を使用しています。
他にも、自然素材をふんだんに使用しています。内装はほたての塗り壁、外壁には高千穂シラスのそとん壁を使用しています。リビングの暖房には無垢の床材でも導入できる蓄熱式の床暖房を施工しています。
2Fには寝室と居室、ワークスペース、階段で上れるロフトがあります。1Fから2Fへと階段を上がると広めの共有スペースがあり、そこから各室へアクセスします。
寝室とバルコニーの間に「縁(えん)」と呼んでいる縁側のようなスペースを設けました。寝室へは縁を介し、障子を開けて入るようにしています。
寝室は落ち着いた空間になり、障子を開けたままでも縁の空間を感じられます。
また、縁の足元は格子になっており、リビングに陽の光を届ける役割も担っています。1Fからロフトまで空間が緩やかにつながり、家族の気配を感じられる家になっています。
リビングと寝室の窓からは、もともとあった蝋梅の木を眺めることができます。
冬の終わりごろに咲く花の香りとともに、以前のお住まいでの暮らしも思い出してもらえたらいいなと思います。
愛着をもって、またさらに次の世代まで、引き継いでもらえることを願っています。
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