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第118回 建築時にしか選べないもの

建築時にしか選べないもの

長持ちする住宅を建てるには、「交換可能な部分」と「建築時にしか選べないもの」を知っておく必要がある。

たとえば天然住宅の基礎コンクリートは300年以上持つように固練りして打っている。
水セメント比から考えて、固練りするのだ。
ところが安売り住宅では基礎コンクリートが50年しか持たない。

土台に据える木材はシロアリを寄せつけないものを使う。
ところが流行りの外材では、建てている最中にすでにシロアリが寄ってくる。
当然「防蟻剤」を使うが、そうすると室内が薬剤で汚染されてしまうことになる。

最初に素材をきちんと選んでおかないと、後から解決することはできないのだ。
やっぱり基礎・土台・構造材(柱、梁など)だけは安普請ではダメなのだ。

ムカデ対策

虫返し
そして地域性もある。北海道に沖縄仕様ではダメだし、その逆も同じだ。

岡山の我が家では虫返しを付けた。
特に嫌だったのがムカデで、室内に入り込むばかりか天井をはい回って落ちてくる。
あんなに足があるのにと思うが、ポタッと落ちてくるのだ。
刺されると痛いし、塗り薬もあまり効果がない。
ムカデの痛みにはお湯が一番いい。熱めのお湯に晒すのが一番毒消しになるのだ。
古民家の時にはひと夏に10匹以上も出会った。

しかしムカデはつるつるした場所を登れない。
そこで家の外周をつるつるのガルバリウム鋼板をオーバーハングさせて、忍び返しのように覆って玄関の階段にもステンレス板を貼った。

そして床下には通風口を作らず、湿気を飛ばすために温風を流すようにした。
以来室内でムカデと会っていない。

ビックモリーズの実験

ビッグモリーズ
もう一つ、今回岡山の倉敷の水害で思い知ったことがある。

MDF材や合板が住宅建築材として向かないことだ。

岡山県和気の友人たちが倉敷市の真備町にボランティアに出掛けてくれている。
和気の町内でも水害があって、ボランティアで活動してくれている。
その中心となっているのが家具屋さんの「ビッグモリーズ」の大森さん夫妻だ。

彼らは早朝マラソンを日課としながら、朝一番にゴミも拾ってくる人たちだ。
「どこまで~」と聞きたくなるほどの善人だ。
そこが面白い動画を作っている。水の中に入れたら合板などの家具はどうなるのかを実験した映像だ。

要は無垢材は濡れても乾くだけのことなのだが、合板やMDFは水を吸い込んでしまって膨れ上がって戻らなくなる。
さらにカビも出て腐り始めるのだ。

つまりは、濡れた建物は捨てるしかなくなる。
無垢の木材なら大丈夫なのに、家具も家も捨てるしかなくなるのだ。

天然住宅では全く使わないが、普通の家は床の畳を剥がすと下にはベニヤ板が貼ってある。
こうしたものを使わない住宅はほとんどない。
そうしないと万が一の時には完全に家を捨てるしかなくなるのだ。
ビッグモリーズの実験