去年の12月、千葉県船橋市にお住まいのYさま宅を訪問しました。
Yさん一家は、小学生、中学生のお子さんと、ご夫婦の4人暮らし。
ちょうどお引渡しから丸2年が経ちました。
室内に通されてまず驚いたのは、空気の柔らかさと暖かさです。
ペレットストーブの暖気を、羊毛の断熱材や無垢の杉材といった自然素材が蓄熱してくれ、家全体をじんわり暖めながら保温してくれている、(エアコンとは違う)包まれるような暖かさを感じました。
心も体もゆるりとほぐれた(まさにこの表現がぴったり!)ところで、Yさんに当時の家づくりを振り返っていただくことに。
▲照明やカーテンは、千葉市内にショップをかまえる「CLASSICA(クラシカ)」さんによるコーディネート。室内の雰囲気を左右する大きなアイテムは、あえてプロの方に選んでもらうというのもひとつの手ですね!
Yさんは家づくりにあたり、ハウスメーカーの住宅展示場と天然住宅の家、両方を見学されたそうです。
住宅展示場は広いばかりでどこか現実味がなく、暮らしのイメージを描くことが難しかったといいます。高気密住宅であるがゆえの息苦しさも感じたそう。
一方、天然住宅では、実際に天然住宅で暮らす建主さまの家を見ていただきました。
カビはもちろん、窓枠にも結露が見られなかったことに驚き、無垢の床の気持ち良さに「こういう家で暮らしたい」とご夫婦ともに思えたそうです。暮らしのイメージも描くことができました。
そのような過程を経て、天然住宅での家づくりがスタートしました。
家づくりのこだわり、教えてください
Yさんの家は、延床面積30坪+ロフトがあります。
Yさん:
提案いただいた間取りはとてもシンプルでしたが、今思えば、はじめに作りこまなくてよかったです。住んでから必要に応じて加えることができますから。
そんなYさんに、「ここだけは譲れなかった」という、こだわりポイントを聞いてみました。
1. 広さよりも明るさを優先すること
2. 仏壇を置くスペースをつくること
3. ご主人の野球ロッカーをつくること
4. ペレットストーブを設置すること
5. 木部に塗装すること
上記のほか、奥さまはキッチンにパントリーがほしかったそうです。しかしスペースの都合で、独立した空間をつくることができなかったため、「こんな風に使いたい」というイメージを絵にし、食器棚、食品庫を大工さんにつくってもらいました。
Yさん:こちらからお願いしたことではありませんが、シンクからバックカウンターまでの幅にゆとりがあるのが使いやすいですね。シンク上の吊戸棚は抜け感が出るようにと提案いただきました
。
「素材にこだわりのある家だから制限も多いはず」はじめはそう身構えていましたが、結果的に意外と何でもできた(使える素材は思ったよりも色々あって、その都度見つけてもらった)そうです。
▲子ども部屋はひとつの空間を分けて使います。ひとりあたり4.5畳とけっして広くはありませんが、間仕切りがない分、広々とした空間です
Yさん:
当初、希望はしていませんでしたが、提案があったので子ども部屋の上にロフトをつくりました。今、ロフトは娘が漫画を読んだり寝るスペースとして使っています。ロフト生活を満喫している娘を見ると、つくってよかったと思います。
自然素材の家に住んで変化したこと
Yさん:
春から夏にかけては、木が湿気を含んで膨らみます。逆に乾燥する冬は、木が収縮するため、床板と床板の間に溝ができるんです。こういう変化は自然素材ならではですよね。個人的にいいなと思っています。
木の香りがする家は訪問客にも好評で、お子さんの友だちが、自分の友だちに「すごいでしょ!」と自慢することもあるのだとか。
居心地の良い空間は、家に対する気持ちにも変化をもたらしました。
以前は「忙しくて疲れたから家にいよう」だったのが、「何もないけど家にいたい」に変わったそう。「家族みんなで、ついリビングでダラダラしてしまって」 そうおっしゃるご夫婦の幸せそうな笑顔が印象的でした。
▲外壁はドロプラクリームという漆喰系の塗り壁
▲玄関回りはシンプルに
建主さまの普段の暮らしぶりを垣間見れるお宅訪問には、これから家づくりをはじめる方の参考になるアイデアがたくさん詰まっています。
ここからはたくさんの写真とともに、さらに詳しくご紹介していきますね。
▲吊戸棚は抜け感を意識し、箱タイプではなく、「アイアン×木」でつくりました ▲キッチンのバックカウンターです。ごみ箱もキャスター付のワゴンもサイズがぴったり。オーダーならでは! ▲スライド式の食品庫。取っ手は奥さまが選んだもの ▲バックカウンターの一部をパソコンコーナーに
▲吹き抜けからダイニングを見下ろしたところ。床や建具、家具の塗装は、ヨーロッパの古い家をイメージして色を選びました ▲塗装することで、新築時からアンティークな雰囲気に ▲キッチン横の壁にはタカラスタンダードのホーローパネルを貼り、家族の掲示板に ▲階段も、白×古色で塗装しました ▲ペーパーホルダーは奥さまのセレクト ▲トイレの照明です。階段下に設置したトイレは「まるで秘密基地」のようだと子ども達に好評なんだそうです ▲ご主人こだわりの野球ロッカー ▲バットの収納(左)や、(写真には写っていませんが)ユニフォームを飾るための額縁も大工さんが作ってくれました! ▲2階の勾配天井に吊り下げられた照明。クラシカさんコーディネートのもの ▲家のあちこちに可愛らしい置物がたくさん♪
▲リビングに天井高の収納をつくりました。(上部には仏壇を収納!!)ペレットストーブも設置しました ▲模様がかわいらしくて、個人的にいいなと思った、ギャッベ(絨毯)もクラシカさんで購入しました ▲広々としたウッドデッキ ▲このウッドデッキをもっと活用するのが今後の課題なんだそうです
外から見た我が家も、好き
Yさんとの会話の中で、私の心に残ったこと。それはカーテン選びから派生したエピソードでした。
クラシカさんに選んでもらったカーテンは、防炎や遮光機能のついていないリネン製のもので、はじめは外から室内の様子が見えやしないか心配もあったそうです。
しかし実際に暮らしてみると、その心配は杞憂に終わりました。「むしろ、そうしてよかった!」と思えたそうです。
その理由は、室内からぼんやりと明かりがもれている光景を見た時、ほっとしている自分に気づいたから。
クラシカさんのおかげで、「家路につく時に眺める我が家も好き」と思えるようになりました。
このエピソードから、「カーテン選びも、暮らしづくりの大切な一部なのだ!」と、教えていただいた気がします。
そして自分の家の良さをそんなところから見つけられるYさんは、きっと日々の何気ないシーンから、自分の心に響く「いいな」や「すきだな」を見つけたり、感じたりするのがお上手な方なのだろうとも思いました。
上手と言いますか、きっと大切にされているのだろうなぁと。
そんなことを想像したら、私もYさんのように、自分の心に響くことを大切にしたい、何より暮らしをもっと楽しんでいきたいと思ったのです。
Yさんご家族の日々の営み、暮らしを支える土台に私たちの家があるということを改めて誇りに思った一日でした。Yさん、素敵な家と暮らしを見せてくださり、ありがとうございます。これからもどうぞよろしくお願いします!