伝統工法の衰退
昭和25年に建築基準法(建築物の敷地、構造、設備、及び用途に関する最低基準)が定められ、以降、住宅建築の基本とされてきました。この法律は、戦後の「とにかく住める家をどんどん増やす」という時代の要請として出来ました。その結果、合板・集成材などの新建材、新工法が次々と出てきました。
伝統工法は非効率なものとして、少しずつ時代の裏舞台へ引き下がざるを得なくなりました。そして、2007年の建築基準法改正で伝統工法の家が大変建てにくい状況になっています。効率を求める経済システム下では、適材適所で行われてきた無垢材の使用はただの邪魔者になり、一つ一つの部品の質が同じであることが、求められるようになりました。
その結果、多くの大工・職人の、伝統技術の継承はおろそかになっていきました。
天然住宅は職人技術を活かします
天然住宅は職人技術の上に成り立っています。
昔ながらの大工は木のクセや木目で目利きします。どこにどの材を配置するか、見極めて、手刻みでの加工を行います。
また木目を見て、天地はもちろんのこと木の生えていた方角、斜面の向き等による力のかかり具合を見て、より強度が高い組み合わせになるように配置を考えます。
昔ながらの継手・仕口を使い、木と木を面でつなぎます。
木材の接合部を金物にすると、木と金属の熱伝導率が違うため、結露する可能性があります。また、繊維を割ってしまい、弱点になる可能性もあります。それゆえ、接合部にはなるべく金物を使用しないで済むように、複雑な継手を刻み、堅木の込み栓を打ちます。
そのような伝統技術でつないだ木同士は、引っ張り合い、膨張し、時を経るごとに強度がましていきます。
▲伝統的な継手「金輪継ぎ」 ▲継ぎ目を広葉樹の「堅木」で固定します。
▲仕口には「長ほぞ」を差し込みます。 ▲「追っ掛け大栓継ぎ」 複雑な継手を刻み、接合部の表面積を大きく取ります。より強固な接合部になります。