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【建材コラム】見えないところが大事!断熱材にグラスウールを使わない理由

1. グラスウールは使用しません


一般的な建売住宅で多く使われている断熱材が「グラスウール」です。
燃えにくく、シロアリもつきにくく、断熱性能も高く、さらに価格が安いという点から、多くの住宅に採用されています。
 
グラスウールは、溶かしたガラスを繊維状に加工したもので、見た目はふわふわした綿のよう。
国際がん研究機関(IARC)ではかつて「発がん性の可能性がある(グループ2B)」とされていましたが、2001年には「分類できない(グループ3)」に変更され、現在ではF★★★★(ホルムアルデヒド等の揮発量が基準値以下)製品として流通しています。

つまり、法律や一般的な基準に照らせば「問題のない素材」ではあります。
ですが、天然住宅ではこのグラスウールを使用していません。なぜなら、私たちの目指す家づくりでは、“素材の成り立ち”や“使い続けた先の安全性”を何より重視しているからです。
 
グラスウールの製造には、ガラス繊維をバラけさせないための〈バインダー(接着剤)〉が使われており、その溶剤にはホルムアルデヒドが含まれていることがあります。たとえ規定値以下であっても、完全にゼロにはできないのです。
 
さらに、湿度変化の大きい壁の内部に使うには調湿性が低く、結露を引き起こしやすい点も懸念の一つです。特に、ビニールで包まれたグラスウールは湿度を調整できず、内部に水分が溜まり、構造材が腐る原因になることも。
 
また、経年劣化により素材が沈下し、断熱性能にムラが出てしまうケースもあります。

グラスウールを使用した壁内に生じた結露の様子。
構造材にまで影響が出ています。

 

2. 現代には、さまざまな断熱材があります


最近では、選択肢の幅が広がり、さまざまな断熱材が登場しています。
どの断熱材も一定以上の性能を持っており、一見すると「どれでも良さそう」に思えるかもしれません。

大きく分けると、以下のように分類できます。

繊維系断熱材(グラスウール・ロックウールなど)
 →製造過程で化学物質を使用。後処理で安全性を確保。
発泡プラスチック系断熱材(ウレタンフォーム・ポリスチレンフォームなど)
 →IARCの評価で「発がん性の可能性あり」とされています。接着剤の使用も必要。
・自然素材系断熱材(セルロースファイバー・木質繊維・炭化コルクなど)
 →化学生成したものに比べ安全性が高い。調湿性能にも優れる。

性能を数値で比較するだけでなく、「素材の出どころ」「身体への影響」「調湿性」といった視点も大切です。

3. 天然住宅が選ぶ断熱材「ウールブレス」


私たちが採用している断熱材は「ウールブレス」です。
これは、ウール(羊毛)70%、ポリエステル30%で構成されており、防虫処理には自然素材のホウ酸を使用しています。

断熱性能
高性能グラスウール16K相当の断熱性能があります。住宅の断熱性能は壁だけではなく、窓や隙間からの熱損失も考慮すべきですが、ウールブレスは十分な性能を持っています。

安全性
ホルムアルデヒドなどの有害物質を含まず、製造・施工・使用後においても人体に優しい素材です。

調湿性能
ウールブレスは、自重の30%もの湿気を吸収しても、表面はサラサラ。水滴化せず、構造材を腐らせません。さらに、湿度が高ければ吸収し、乾燥すれば放出する性質があり、室内の湿度を常に快適に保とうとします。

経年劣化しにくい
繊維が沈下しにくく、隙間ができにくいため、長期にわたり断熱性能を維持できます。

4. 壁の中の湿気と構造の寿命


壁内の結露は、家の寿命を縮める大きな原因です。
湿気は以下のような性質を持っています。

1.温度の高い場所から低い場所へ移動する
2.湿度の高い場所から低い場所へ移動する
3.隙間を通じて逃げる

この性質を理解したうえで、壁内の構造を設計することが、長持ちする家づくりには欠かせません。

天然住宅では、夏も冬も壁内が乾燥状態になる構造を実現しています。
大学との共同研究でもその効果が証明されました。

5. 実際に見て・触れてみてください


ウールブレスは、見た目もふんわりしていて、触ってもまったく刺激がありません。
(グラスウールのようにチクチクすることもありません)

不定期開催ではありますが、構造見学会では、実物をご覧いただき、実際に触れていただけます。
自然素材の家づくりの魅力を、ぜひ五感で体験してみてください。

「見えないところ」にこそ、本当の価値を。


天然住宅は、家族の健康を守り、自然と共に生きるための家づくりを続けています。
断熱材一つをとっても、私たちのこだわりはぶれません。
これからも、安全・快適・長持ちの家をつくるために、本質を見つめ続けていきます。
 

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