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読書日記|田中

人新世の「資本論」|斎藤幸平

今、様々なところで気候変動対策や環境保全が謳われるようになりました。SDGs、レジ袋有料化、電気自動車・・・これらの成果ははたしてどれほどなのでしょうか?筆者はこれらの対策をしたところで気候変動は止められない、と話し始めます。

個人的には、「SDGs」の意義はあると考えています。

掲げられている17の目標は、これから選び取っていく未来のために、どれも重要なことであるのは間違いなく、それを達成できる世界を、皆が共有することは、そこに向かうためのスタートラインとして、必要なことであると思います。

またSDGsは誰にでも掲げられるものです。国、自治体、企業、個人、誰でも参画できるものであり、そのハードルの低さ、裾野の広さが特徴だと思います。このことは、皆が意識をし、行動をすることができるし、微かにでもよい未来へ「前進」できる可能性を内包していると思います。少なくとも、私の周りでSDGsに取り組んでいる人たちは本気で取り組んでいると感じられます。

その一方、SDGsが「免罪符」のように使われてしまう可能性もあります。本書ではこの点が指摘されています。

グリーンニューディール政策のような、一見、気候変動に効果のありそうな考え方も、実は効果を上げることはできないだろうというのです。

なぜなら、それらは「資本主義」の考え方の上に成り立つものだからです。資本主義は、その被害を技術的に、空間的に、時間的に転嫁するだけで、「気候変動対策」としては実を結ぶことはできない、と筆者はいいます。

逆にそのような、「ひとときの安心」を与えるような言説は、環境負荷の高い「帝国的生活様式」を継続させることに寄与するだけであると。

この本が今20万部も売れていることはとても素晴らしいことだと思います。

著者が言うように、SDGsは、「悪用」してはいけない。そのSDGsが本物であるかどうか、しっかりと見抜き、線引きすることも同時に必要であると思います。

そしてその線はどこにあるかといえば、プラネタリー・バウンダリー(地球の限界)を超えていないかどうか、環境的な上限を超えていないかどうか、です。

例えば、家づくりでいえば、その家を建てるときに森林破壊につながるような家を建ててしまっては、いくら地域のゴミ拾いをしたって、上限を超える企業活動であり、消費活動になってしまいます。

森林破壊の代表は外国産の木材を使用するような家づくりが該当するだろうと思います。また国産であっても、合板のような木材を使用する建築は、「大量生産、大量消費」という資本主義の代表的な思想のもとで、つくられているものなので、これを使用する建築も気候変動に対して、誠実な対応とは言えないと思います。

合板は無垢の木材としての性質をなくさせ、量産できて、クレームがつかない製品になっています。この木材の主な原材料は外国産ですし、国産だとしても、山側にその生態系を阻害するような施業、「はげ山林業」を強いる製品です。はげ山林業には、助成金がつかわれ、山側の産業としての自立を阻害し、木材の価格を下げています。

私たちが家づくりに合板を使わない理由の一つはこれです。
「大量生産、大量消費」に加担することだからです。

では逆に環境的な上限を超えない家づくりとは何かといえば、「持続可能な林業を営む産地から、直接仕入れた国産の無垢材を使う」ことだと思います。

このように企業活動一つとっても、結果としてそれが達成されているかということを考える必要があると思いますし、私たちとしてもしっかりそれを見える化していかないといけないのだと思います。そのように見せかけの気候変動対策に騙されないように、基準を持たなければいけない。

著者は前半部分でそのような見せかけの対策を批判していきます。

そして、マルクスの代表的著書(「共産党宣言」や「資本論」)以外に残された書簡などから、晩年、本当にマルクスが考えていたことを明らかにしていきます。
それこそ現在の社会に必要な処方箋であり、根本からの体質改善を促す考え方なのです。

「脱成長コミュニズム」
それが、著者の主張であり、これからの指針となる一つの解決策です。

資本主義からの脱却。
そして、市民が力を得ていくこと。
それを実現していくことが、気候変動や豊かな社会をつくっていくことにつながっていきます。

著者の斎藤幸平さんは33歳。年も近いこともあり、とても共感をもって読めました。

一部の人に権力が集中し、好き勝手をすることに時代は「NO」を示し始めています。新しい時代をつくっていかなければいけないと思います。

気候変動を考えるとき、私は子供たちのことを思い出さずにはいられません。
手渡す未来を少しでも良くしたい、幸せに過ごしてほしい。と思います。

そのための行動を、あらゆる垣根を越えて様々な人と連帯して、進めていけたらと思います。
 

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