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【伐採体験】それはまるで、大人の社会科見学

こんにちは、スタッフの井上です。

今日は、現在都内で計画中の建主Y様からのメッセージをご紹介します。
去年の暮れ、伐採体験と製材見学に参加され、ご夫婦それぞれの感想を綴ってくださったものです。

家づくり検討中の方、伐採体験に興味のある方はぜひお読みください!

栗駒伐採ツアーに参加して
(夫編)

「栗駒に我が家の柱になる木材を伐採するツアーがあるんだけど行く?」と妻から LINEメッセージを受けたときは、「へーぇ、そんなツアーがあるんだ」ぐらいの気持ちでした。 

現在、進んでいる家づくりの計画の主導は妻です。ですから当初、伐採ツアーも妻ほどの思い入れはありませんでした。しかしツアーに参加して、いくつか気持ちの変化がありました。 

まずは、自分が実際に伐採した木が、我が家の柱や梁になるのかと、ワクワク感が高まったことです。実際に伐採した木は、当初の予定よりもサイズが大きかったとのことです。伐採した木がどんな形になって再会できるのかとても楽しみです。

次に、製材所や伐採した木を加工する工程を見学したことで、材料となる木材にいくつもの手間がかかっていることに驚きました。私たちが製材所を見学したのは日曜日だったので、実際に加工している工程の全てを見ることができたわけではありません。 しかし、実際には様々な加工の工程があり、製材所や加工場で働く人々の「良い家造りをしたい」という想いが、閑散とした工場からも伝わってきました。
そして機会があれば、実際に加工されている様子を見てみたい気持ちにもなりました。 

最後に、普段目にしている木に対しての見方が変化しました。私たちが伐採する木は3本の候補がありました。それぞれの木を注意深く見ると、3本とも特徴がありました。 3本の中で伐採する木を選んだポイントは、3本中一番空に向かって真っすぐに伸びている点です。(少なくとも私には、一番真っすぐに見えました)

これまで杉林を見ても、 単に杉の木がたくさん生えているぐらいにしか思っていませんでしたので、1本1本の違いに目を向けることができたのは私にとって大きな収穫であり驚きでした。
今では、杉の木を見ると自然に目が向き、「真っすぐに伸びている」とか「小枝がたくさんあるな」とか興味をもって見るようになりました。また、密集している杉林は木同士が近すぎて、なんだか窮屈なんじゃないかなと思うようにもなりました。 

今回の伐採ツアーに参加して、家づくりのことはもちろん、自然環境や日本の林業のこと、林業を仕事とする方々の想いや願い、木材の使われ方等、様々なことを考えるきっ かけとなりました。何よりチェーン・ソーで木を伐採する貴重な体験ができたことが一番印象的でした。結果的に伐採ツアーに参加して大満足です。

最後になりますが、貴重な体験を案内していただいた富張様、家づくりの妻の想いを受け止めてくださっている天然住宅の皆様、そして我が家の家づくりに関わる全ての方々に感謝申し上げます。ありがとうございます。 

さて、どんな家が建つのか・・・益々楽しみです!

栗駒伐採ツアーを終えて
(妻編)

2023年の年の瀬に、鳴子温泉泊1泊2日の栗駒伐採ツアーに行ってきました。一言でツアーの感想を申し上げると「大人の社会科見学」でした。

1日目、JR古川駅に富張さんが車で迎えに来て下さり、その足で栗駒の森に向かいました。そこで伐採用の服に着替え、長澤さんの運転する車に乗り換え、伐採地へ向かいました。

ぬかるんだ道でも狭い道でもがんがん上っていくハイエースにびっくりしながら、長澤さんにセブンイレブンや日能研がこの森の再生に関わっているとお聞きしました。その植林の山々を見ながら、意外な気持ちと、大企業が関心を寄せていることは森林にとってはとても良いことだと感じました。

伐採地につくと、伐採を教えてくださる佐々木さんと千葉さんが待っていてくださいました。伐採する前にチェーンソーの扱い方の講習を受けました。チェーンソーのパワーに負けぬようしっかり持たねば危ないと思い、少し緊張しました。

森の神様にみなで祈りを捧げ、いよいよ伐採です。

手に持ったチェーンソーを杉の木に入れた時「痛い」という声が私には聞こえました。その時「命をいただくんだ」と思いつつ、初めてのチェーンソーを安全に扱うこと、千葉さんの指示を守ることに精一杯で、それ以上杉の木に思いを寄せる余裕が全くありませんでした。

受け口、追い口の後、最後にくさびを打ち込みました。「倒れるときは音がする」と聞いていましたので、くさびを打ち込むたびに耳を澄ませました。何度か打ち込むと、「ミシッ」、もう一度強く打ち込むと「ミシミシミシ」と音が大きくなり倒れる時が来たことがわかりました。そして、薄暗く静けさの漂う森の中へゆっくりと壮大に倒れていきました。

その瞬間は神秘的で、今でもその光景が目に焼き付いています。「東京で待ってるね」と倒された大木に触れながら私は声をかけました。杉の木にお詫びの気持ちと我が家に来るときは新しい気持ちで来てほしいなと思ったからです。

この一本の大木から 2 本の太鼓梁、1 本の支柱、家族分のスツールが採れるとのこと、この森での風景とともに毎日を過ごせることに、今から小さなしあわせを感じています。

伐採後は、富張さんに栗駒の施設をふたつ案内していただきました。ひとつは板倉工法で建てられた家々。エネルギーを再生しながらの自然の中での生活は羨ましく思いました。

もうひとつは製材の作業場。大きな屋根の下だけでの作業は冬の寒さ、夏の暑さを想像するだけで環境の過酷さを感じるとともに、林業にかける情熱も感じました。そこで今日の予定は終了。宿泊先の鳴子温泉まで送っていただきました。

「鳴子温泉のこけしは鳴るんですよ」と富張さんに教えていただいたので、宿にあったこけしを鳴らしてみました。大小さまざまのこけしはいずれも「きゅっきゅっ」と鳴り、工人の技術の高さに感動しました。

2日目、富張さんのお迎えで製材所の見学に向かいました。昨日伐採した杉の木を用途に合わせて切り分けるところを見せていただきました。樹皮や省いた箇所も別の用途に使われるとのこと、資源を無駄にしない姿勢にとても共感できました。

廃校になった跡地にある第二工場も見せていただきました。木の香りが漂い癒されながら、林業の発展を願わずにはいられませんでした。ここで、伐採ツアーの全工程は終了。私たちの都合で再び鳴子温泉まで送っていただきました。

鳴子温泉では、ガイドに記されていた柳宗理氏デザインの鳩笛を見たくて老舗高亀を探して行きました。老舗高亀さんは、民芸運動とも週刊新潮の表紙を描かれた谷内六郎氏とも縁があることがわかり、その空間で過ごせたことはとても素敵な時間となりました。

そして鳴子温泉のこけしは「菊」をモチーフにしていることを教えていただきました。駅に並んでいた工人たちのこけしを見ると、どのこけしにも菊模様が描かれていました。その菊模様は千差万別で、見比べたり好みの模様を探したりすることも楽しかったです。

 
それから1時間に1本の在来線に鳴子温泉駅から乗って岩出山駅で下車、竹工芸館に向かいました。竹工芸は私の趣味ですが、約300年続く篠竹細工の技術の継承が行われていました。時間があれば一編みしたかったなと心残りでした。そして、 電車の時間に合わせて駅に向かい帰京しました。

森の再生にほんの少し貢献できたこと、製材過程を見学できたこと、この地方の伝統・文化に触れることができたこと、郷土料理のしそ巻きくるみ揚げを知ることができたこと、私にとって有意義な「大人の社会科見学」でした。栗駒でお世話になった方々、連絡調整等でお世話になった中村さん、みなさま方に感謝申し上げます。
 
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