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木材乾燥へのこだわり

木材の含水率


伐採した直後の樹は水分を多く含みます。
含水率は200%以上あり、木材そのものよりもたくさんの水分を保っています。

その樹を家に使用する木材にするためには乾燥が必要です。
構造材を刻む段階では、木材の含水率は30%前後まで乾燥させます。

家が建ってからも、人が住みながら、緩やかにその含水率は落ちていきます。そして「平衡含水率」で落ち着きます。
平衡含水率までになると木は反ったり、腐ったりしにくくなります。また湿気の吸放湿も行い始めます。
古い民家にある長寿命の梁や柱ではその含水率は20%以下になっています。
含水率が20%以下では、不朽菌が繁殖しにくいと言われています。
天然住宅の構造材の含水率は10~11%前後です。

無垢材で家を建てるときには、このように木材の乾燥は非常に重要なポイントになります。
またその乾燥方法にも気を遣い、こだわってあげると、木は本来の性能を存分に発揮してくれます。

高温乾燥はしません


木材の乾燥方法で一般的なのは、120℃以上の温度で乾燥させる「高温乾燥」です。
高温乾燥では、木材を早く乾かすことができ、経済的です。また、反りやくるいが少なくなることから、この方法が取られることが多いのです。

しかし、高温乾燥した木材では、急激に乾燥させられるため、「内部割れ」を起こす可能性が有り、そうなると強度に問題があります。

また、木材は80℃を超えると細胞が変性します。
高温乾燥では木材の細胞が壊れやすく、木材が持っている精油成分を溶出させてしまいます。
このいわゆる「精油成分」が住宅において重要な様々な働きをしてくれています。

強度

木材は図のように鉄筋コンクリートと似た構造になっています。

「セルロース」は鉄筋、「リグニン」はセメントのような役割をしています。
「ヘミセルロース」はその2つをつなぎ合わせる役割を担っています。

高温乾燥では、このセルロースが破壊され、ヘミセルロースが溶け出してしまいます。
そうすると力学的な影響、つまり強度への影響が考えられます。


・木の匂い

木材にはそれぞれに特有の匂いがあります。木材の精油成分によるもので、「フィトンチッド」と呼ばれます。
フィトンチッドには人に対しては、樹種によりリラックス効果を有するものや、逆に興奮効果をもたらすものがあります。杉はリラックス効果があると言われています。
また、シロアリなどに対しては忌避効果があり、抗菌・防ダニ作用もあります。

このように無垢材は、人が安心で快適な暮らしをするのにはとても優れた素材であり、その効果の源である「精油成分」を残せる乾燥方法をとることが重要です。

低温くんえん乾燥


天然住宅では、「低温くんえん乾燥」の木材を使用します。

低温くんえん乾燥とは、1日目に炉内の温度を60℃まで上げ、そこから徐々に温度を下げていく低温での乾燥方法です(木材の内側は30℃に達していません)。乾燥は約10日かけて、煙でゆっくり燻しあげます。さらに外に出してから、適度な含水率まで天然乾燥させます。

適切な温度管理をした木材は、細胞が壊れず、「精油成分」を残すことができます。
木が持つ力を残しながら、くんえん乾燥ならではの特長を兼ね備えます。

木材のひずみを減らす

本来の木材は、風や雪の重みに耐えながら育つ中で、木特有のひずみができるのですが、くんえん乾燥ではこの ひずみを減らすことができます。ひずみは木材の中のセルロース(植物繊維)に残っているのですが、それを固めているのがリグニンです。くんえん乾燥ではリグニンを緩めてセルロースのひずみを取り、再びソフトに固めているのです。そのため建てた後に木材が反るなどの不具合が出にくくなります。


さらなる特長

煙が木をスモークすることで、カビや虫が付きにくくなります。また、濡れてもすぐ乾き、煙の炭素が入り込むことで室内の熱を捉えて輻射する効果が高くなります。

くんえん乾燥した木材だからといって、古民家の梁のように黒くはありません。乾燥機に入っていた時点の木は当然ススで汚れていますが、それを再度製材して 天然乾燥させるので、見た目は他の木材と変わりません。むしろ、細胞が破壊されていないために、艶があってきれいな木材になります。

乾燥の燃料にも、石油や化学物質を含む素材などを燃やさず、木の端材(製材した残り)を使用しますので、環境負荷も少なく、素材としての安全性も担保しています。

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