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家を建てて森を守る

山を守れる住宅


山を守れる住宅

日本の国土の68%は森林です。
国産の木材を使用することは、国内の森を守ることにつながります。
しかし、それも正当な対価が支払われなければ、実現しません。

現在、安い外国産材に押され、森には正当なお金が流れず、国内の林業は成り立たない状況になっています。
外国産材を使用することは、国内の森だけではなく、海外の貴重な自然にも悪影響を及ぼしています。

天然住宅では、家を建てれば建てるほど、森が守られるような仕組みづくりをしています。

日本の森林について


たちゆかない林業と日本の森

日本の山を見渡すとそのほとんどが杉の山です。
現在、その杉の山のほとんどが手入れもされぬまま放置されています。

戦後、焼け野原から日本の復興の過程で大量の住宅が建てられました。
その過程では、 国産の既存の山林だけでは木材が足りず、1954年からはじまった拡大造林政策など国を挙げての植林事業が行われました。
ブナなどの落葉広葉樹の自然林に代わり、成長が早く、まっすぐ伸びて建材として使いやすい杉や檜は、特に多く植えられました。

しかし、時代が移り、安い外材が入ってくるようになると、「木を伐っても儲からない」と、言われるようになり、 人工林の伐採は行われなくなっていきました。
良質な建材となる杉を育てるには、植林した後、枝打ちをし、間伐をしていくのですが、この手間をかけて木を育てても、木材は安く買い叩かれてしまいます。

一旦自然林でなくなった山林は放置しても自然に元に戻るわけではありません。
それどころか、 間伐されないために光が差し込まなくなり、下草が生えなくなり、表土が雨ですぐに流出するので、生態系が貧しく、土地もやせていきます。
さらに密植されたままなので木の根も張り切れず、土砂崩れの危険性も高くなってしまいました。

落葉広葉樹の自然林は、根も深く土砂崩れを防ぐだけでなく、雨水をしっかりとたくわえて、ゆっくりと川にしみ出させる小さなダムのような力も持っています。この水が滋養を含んでいて川や海のプランクトンの栄養となって、山紫水明といわれる豊かさとなっていました。 しかし人工林では、手入れをされなければこうはいきません。

実際、戦後、自然林(自然のダム)が人工林(単純林)に代わる事によって、皮肉な事に、治山・治水の必要性が叫ばれ、多くのダムも作られてきました。それは公共事業として一時的には、雇用と経済成長を生んだかもしれませんが、森林や豊かな生態系の犠牲の上に成り立っていることは、言うまでもありません。

林業再生のために「木を使う」


日本は国土の約7割が森林です。
人工林がそのうちの4割、国土全体の約3割が人工林となっています。 この人工林の殆どが上のような状況になっています。

林業再生のために「木を使う」

今、日本の森にとって必要なことは、「植林」よりも「木を使うこと」です。
国産の木材を選択することが、山の保全につながります。また、古くから杉や檜は日本の風土にあった材料として、使用されてきました。風土の違う外国産材を使用するよりも、国産材を使用したほうが、その能力を発揮できることは、明らかです。

山の仕事が増えれば、山が手入れされるようになり、豊かな生態系やその能力が自ずと戻ってくるようになるでしょう。

林業について


今、林業はどこも赤字です。

今、林業はどこも赤字です。国や地方自治体の助成金、補助金がなければ成り立たない仕事になってしまいました。
生活に困り果て、苦渋の思いで木を伐る事を諦めてしまった林業者が全国にはたくさんいます。
これでは、林業を職業として選択したいと思う若者はでてきません。

1961年には、国産材の価格は、伐採した杉の材木 1 ㎥(立法メートル)の価格で、11.8人分の伐採労働者の賃金を払う事ができました。
2004年にはわずか 0.4人分にまでになり、この 40年あまりの間になんと、25分の1の価格までに減ってしまったのです。

その原因のひとつは、安い外材を使用し始めたこと。 そして、木材使用の中心が、ベニヤや合板、紙などの安価なものになってしまったことがあります。 国産の木材が適正な価格で市場に届くようになることが重要です。

日本の木材自給率


日本は海外から多くの木材を輸入しています。
例えば東南アジアの森林を大規模に丸裸にし、鉛やヒ素など有毒物質での防腐・防カビ処理によって現地労働者に健康被害をもたらし、さらに薬剤が川や海に流れ込み環境を破壊しています。

世界で貿易される熱帯材の実に2~3割が日本で消費されています。
それも長年かかって育った木が切り刻まれてベニヤ板などの合板に加工されて。 (ベニヤ板は建築現場での使い捨ての用途が主です。) 南洋材の伐採地は、フィリピン→インドネシア→マレーシアのサバ州→マレーシアのサラワク州と移動し、現在はパプア・ニューギニアが伐採の対象となっています。

日本の木材自給率

この結果、土砂崩れや多様な生態系の破壊が広範囲で起こっています。北米や、ロシアの材を含めて、現在世界第3位の木材消費国である日本は、その80%を輸入に頼っています。

森林破壊の悪循環

海外の材を使用する理由は安価に手に入ることがあります。
遠く海外から材を取り寄せているにもかかわらず、外材の方が安価に手に入るのは、下記のような理由によります。

国境間の輸送に税金がかからないこと、貨幣力の差、人件費が安い(健康保護の不足、人権保護の不足とセット)のと、環境コスト(つまり植林など森を戻していくコスト。過去には30~80年で移動しながらの焼き畑との共生で持続してきた。)を度外視していること、合板や集成材を前提としているので元の材の質が低くてもよいこと、熱帯等では成長が早いこと、 海外子会社を利用した「移転価格」による節税など、です。

経済性を優先させた結果、自国の木を使わない事で国内の林業や山林を崩壊させ、一方で、他国の森林を奪っている現状があります。
さらには、防腐加工などによる健康被害の一因になっていることもあるのです。

自国の木材を使えれば、海外の森林破壊は抑制され、国内の林業の再生ができます。
また、天然住宅のような家づくりができれば、健康な家を増やしていけます。

天然住宅の取り組み


天然住宅では100%国産材を使用します。木の特徴を活かした方法で、建材や家具材に無垢材を使用し、適正な価格を山に還せるような仕組みをとっています。

もちろん、それで住宅が高くなってしまっては仕方がないので、林業の合理化、中間コスト削減などをとおし、コスト削減を行っています。

天然住宅の取り組み

林業については、従来一番コストのかかることのひとつに「下草刈り」があります。
この作業をしないと植林した木の成長が遅くなってしまいます。
これを、「牛」を入れることにより、解消しました。牛は、スギ、ヒノキを除く下草を食べてくれます。

もう一つ、「間伐」の作業もまた手間(=コスト)のかかる作業です。
これもまた、新たな取り組みを入れて行っています。「皮むき間伐」です。
これは、木が水 を吸い上げる4~8月の間、木は外側の皮をつるんとむくことができます。
むいてしばらくすると水が抜けて、木が軽くなります。
切り出す際にリスクが減り、 運び出す手間も軽減できます。

また、「皮むき」は、素人でもできるため、ツアーを催し、素人がおこない、人件費を削減できます。
様々なところで工夫をし、林業コストの削減に日々挑戦しています。

良循環を生む一気通貫ビジネスモデルを

もう一つの取り組みとして、流通をできる限り簡略化し、中間コストの削減を行なっています。
一般的には、原木市場、製材工場、製品工場、卸売業者・・・など様々な過程を経るため、その都度コストがかかってきてしまいます。
天然住宅では、切り出し、製材、刻みまでを山側で行ってもらい、中間コスト削減と同時に、山側へできるだけ金額を落とせるようにしています。

上記のような取り組みを通して、森での活動を街とつなげられる仕組みをとっています。
「家を建てることで、森を守れる」仕組みです。私たちは、これを全国へ広げていくつもりです。
そうなれば、全国の山は守られていきます。
都会では、健康的で、顔の見える愛着のある材を使った家が増え、豊かな暮らしが広がっていく・・・そういう良い循環を生んでいきたいと考えています。

また、林業を身近に触れていただきたいので、林業体験ツアーも定期的に行っています。
自分で切った木を家の柱や梁に使用することもできますし、何より、切り出した現地の人たちとコミュニケーションを取ることもできます。
是非、この循環に参加してください。

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