街場の親子論|内田樹・内田るん
こんにちは。久しぶりの読書日記更新です。
最近は、何かコロナ禍にキク本を、コロナ禍だからこそ感じ取れる感情を、コロナ禍の感受性を機動力に読めるものを、と考えて読書していましたが、気づけば少し気持ちが疲れていたようです。
気楽に読める本を手に取るとスイスイいけちゃいます。この本と同時に、村上春樹のTシャツコレクションにまつわるエッセイ「村上T」というかなり気楽なのを読んでましたが、この本とともに読んで癒されたと思います。
内田樹さんと娘の内田るんさんの往復書簡が本になったというものです。
娘を持つ父親になって早1年。娘を育てる親の気持ちとは?そして、娘とはどのように育っていくものなのか?を覗き見たくて、この本を読み始めました。男三兄弟の長男として育った私には、女子の成長とはまったく想像がつかない未知の世界なのです。
内田樹さんの本は好きなので、いくつか読んでいて、「村上春樹にご用心」とか「ためらいの倫理学」とか「私の身体は頭がいい」とか面白いですよ!
内田樹さんがシングルファザーとして娘を育てた事は他の著書にも書いてあるので知ってましたが、その娘との往復書簡(文通)本というのは、なんだか聞いてみたかったことが書いてありそうな予感がしました。
読んでいて気持ち良いのは、そこはかとなく仲の良さが伝わってくるところ。お互い自然な優しさがあって、でも全然ベタベタではなくて、爽やかな関係が良かったです。共有する(はずの)思い出の符合とズレの感じも面白いです。かたや苦い思い出が、かたや微笑ましい思い出として記憶されていたり。
エピソードの中で親子2人でフランス旅行に行った時にやることがなくて同じ漫画を2人で読んでて、セリフを丸々覚えたっていう話があって。私も小学生の時に父と弟と3人でピースボートに乗ったとき、同じ漫画(「すごいよマサルさん」の二巻)を回し読みして、ボロボロになるまで読んで(確か醤油のシミとかもついてた)、船に寄贈して帰ったことを思い出しました。
親子の話ってささやかなことでもグッときちゃいます。(電車で読むことが多かったので)マスクの中で微笑んだり、涙ぐんだりしながら読みました。
聞いてみたかったことが書いてあったかはわからないけど、娘との「いい距離感」の一例は垣間見れた気がします。
あと読み終わってからは、娘だからと気負わずに、息子だとしても、「何を考えてるかわからない人」として向き合うのがいいんじゃないかな、と思えるようになりました。
顔は似てても中身は別もんなんだよな〜と思うのが便宜上は有効なようです。