
数学の贈り物|森田真生
▲出版は「ミシマ社」。装丁がきれいなので、そばに置いておきたい本です。
こんにちは、スタッフの小野寺です。
ラジオで偶然知った、この本。
必ずしも数学について書かれているわけではなく、
数学を通して得た気づきや学びなど、著者である森田さんのリズムで、
心地よく書かれたエッセイです。
言葉の紡ぎ方が見事で、惚れ惚れしながら読みました。
数学のイメージは、どんなイメージでしょうか?
難しい、とっつきにくい、つまらない、などなど。
マイナスのイメージを持っている人も多いと思います。
よく聞くのが、「実生活では何の役にも立たない」という、
何の罪もない数学に向けられる冷たい言葉。
でも、実生活で役に立ったり、意味のあるものだけが価値を持つのでしょうか。
そして、数学が役に立たないと言っている人は、
数学を学ぶのを諦めた人だということも、忘れてはなりません。
数学の贈り物は、その先に、あるのです!
入口のドアを開け、なんだかわからないけど進んでみると、
数学は贈り物をくれます。
理系の僕は、昔から数学が嫌いではなく、
論理的に考えて答えを出していくという経験は、とても役に立っています。
記号を用いて物事を整理していくことも、とても役に立つことです。
そしてその先で、またいろいろな考えを巡らします。
数学的思考から導き出される、とても温かいメッセージが、
この本には詰まっていました。
読んでいると、何か温かいものが、じわーっと広がります。
言葉がとても美しいので、僕の言葉で紹介するのが良いとは思わないのですが、
文中に「真剣に生きられた些事」という言葉がありました。
その連続が人生である、と。
深刻になってはいけないけど、真剣にならないのは、なんか違う。
物事を深刻に捉えすぎて、自分で自分を追い込んでしまったことは、
みなさんもあると思います。
でも、それは真剣に向き合った、とも言えるのかもしれません。
些細なこと。取るに足らないこと。
でも、真剣に。
だからこそ、一生懸命に。
今日も、がんばろう。
とりあえず、がんばってみよう。
この温かい本との出会いも、取るに足らないこと、なのかもしれません。
でも、そんな日々の積み重ねに、今日も僕は生かされています。