2010年に出版した書籍、「天然住宅から社会を変える30の方法」の電子版が、この度合同出版よりリリースされました!
この本がきっかけで天然住宅を知った、家を建てる決め手になったという建主さまも多くいらっしゃり、私たちにとっても大切な一冊です。
出版から10年以上経ちますが、今読んでもその内容は色あせていないと感じます。それどころか、SDGsのような目標を多くの企業が掲げ活動するようになった今だからこそ、持続可能な社会を模索したい人たちにとっての小さな希望になるのでは、そんな密かな願いを抱いています。
この本の前書きには、「住宅は社会のゆがみを解決するキー」になると書かれています。誰もが身近で多方面の解決策につながるという点で、住宅を超えるものはないと。
タイトルからは、少々大袈裟な印象を与えるかもしれません。しかし読んでいただけたなら、その真意に「なるほど」と頷いていただけるのではないでしょうか。
家づくりを考えている方はもちろん、持続可能な社会について学びを深めたい、自分で何か行動を起こしてみたいという方、森や林業に興味のある方、エコロジーな暮らしや健康に配慮した暮らしを求めている方にもおすすめです。
価格は税込み550円。あとがきは出版にあたって書き下ろし、この10年の成果をご紹介しています。とても分かりやすく書かれてあるので、中学生くらいのお子様でも読んでいただけると思います。
ぜひお手にとってみてください!
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目次
はじめに 天然住宅の考え方
第1章 健康住宅
・ 私たちが「豊か」に暮らす裏側で
・ 化学物質過敏症にならない家
・ 電磁波過敏症にならない家
・ 安全な素材を使う家
・ 結露でカビない家
コラム 住まい手の声
第2章 エコ住宅
・ エネルギー自給住宅
・ マンションでもバイオトイレ
・ 自給する暮らしを
・ エコアパートで暮らす
・ 「ランニングコスト」が安い住宅
・ ゴミにならない住宅
コラム 日本各地にエネルギーを
第3章 超長寿命な住宅
・ 鉄より強い木材
・ 木造住宅が火災に強いって本当?
・ 面で支えれば強い木材
・ 建物を支える基礎コンクリート
・ 価値ある社会資本を築く
コラム 家づくりとおカネの話
第4章 国産の木材を使う住宅
・ 山を守ることとは、林業者の暮らしを守ること
・ 伝統的なすぐれた技術と目利きを未来に残す
・ 皮むき間伐から「コモンズの森」へ
・ CO2削減につながる家づくり
・ 森林回復のためのペレットストーブ
コラム 特用林産物で森を生かす
第5章 天然住宅を可能にする技術
・ 電気温風式低温木材乾燥窯「愛工房」に出会う
・ くん煙低温木材乾燥炉
・ 安全なノックダウン家具
・ 雨水を利用する
コラム オフィスの健康・断熱リフォーム
第6章 天然住宅を成り立たせるための仕組みづくり
・ 減らしたCO2を利益に変える
・ 非営利の「天然住宅バンク」を活用する
・ 家を大切に使えば持続可能な社会がつくれる
・ ビンテージプランで住宅価値をつくりだす
・ 古民家を活用して天然住宅にする
コラム 国内のフェアトレード
おわりに 妥協しない3つの側面
あとがき 電子書籍版の出版にあたって(田中竜二 / 田中優)
前書きより
住宅は人生最大の買い物といわれ、一生の暮らしを左右するほど大切なものです。しかし、住宅展示場で「衝動買い」されていたり、外観だけで購入を決められたりしています。新築住宅の中に入ったときに感じる化学物質の臭いすら、「新築の臭い」と勘違いされたりします。
住宅は木材利用の最大のものですから、下手に使えば森林破壊につながるし、処理困難な産業廃棄物ともなります。
しかも今の日本の家の平均寿命はたった30年程度です。家のローンを組みはじめる人の平均年齢が34歳といわれていますから、就職してそれまでの間が頭金を蓄える期間で、その後の30年が家のローンの期間。終わるとすぐに今度は建て替えですから、人生のほとんどが「家のローン」に占められ「家1軒が、1人の人生とバ ーター取引」になっているのです。
さらに住宅は、住む人の健康にも大きな影響を及ぼします。人間は毎日飲食する重さの5.5倍の空気を、呼吸から体内に入れています。 食べ物は体内で解毒されますが、吸い込んだ空気はそのまま肺から血液に入り、体全体に回るのです。1日の中で最も長く時間を過ごすのが住宅ですから、それは食品以上に注意しなければならないのです。
しかし、これらの問題にも解決策があります。国産の安全な木材を適切な価格で買い、木材の成長よりも長い期間使える住宅にすれば、 森は減るどころか手入れがされて復活できます。日本が過剰な木材輸入をしなくなれば、世界の森を保全することができます。健康に害のないどころか、さらに健康に良い効果のある素材を使えば、安心して暮らせます。
有害物質を含まなければ火事で有毒ガスに巻かれる心配もなくなり、廃棄のときにも再度同じ材で建て直すことも、炭にすることも土に還すこともできます。国産の木材を適正な価格で買うことで、山に暮らす人たちの収入を増やせれば、無理な出稼ぎも不要になります。地方は活性化し、都会の人口集中も緩和されていきます。
住宅は、社会のゆがみを解決するキーだったのです。ここからひもとけば、森林問題も地球温暖化問題も解決できる糸口がみえてきます。 『天然住宅から社会を変える30の方法』というタイトルは、とても大げさなタイトルに思えたかもしれません。しかし読んでいただければ、解決の糸口につながっていることに気づかれると思います。
私は過去、この「30の方法」シリーズで、さまざまな問題の解決策を示してきました。しかしそれも、場合によっては具体的に感じられなかったかもしれません。しかしこの本は具体的な解決策を示しています。もちろん住宅だけでなく、もっとたくさんの解決の糸口があるでしょう。しかし誰もが身近で、多方面の解決策につながる点で、 住宅を超えるものはないと思います。 (田中優)
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