こんにちは、スタッフの井上です。
2010年にお引き渡しをした、鎌倉市在住のS様宅を訪問しました。
外壁には一部、焼杉を張っています。経年により、新築時よりも色は褪せましたが、自然素材は外の風景にも馴染み、植栽との相性がとても良いと感じました。
ご主人はずっと、縁側やベランダの木が傷んでいくことに抵抗があったそうです。その考えが変わったのが、後述する「くりこま伐採ツアー」にご家族で参加した際、現地で受け入れてくれた大場さんの言葉になるほどと思ったから。
「傷んだ木はゴミにならず自然に還る、リフォームすることで資源が循環するんです。だから傷んだら取り替えればいいんですよ」確かにそうだと納得し、嫌だと思っていた自分を少し恥ずかしく思ったそうです。
庭にはもみじをはじめ、さまざまな植栽が植わっていました。季節の廻りを感じさせてくれる気持ちの良いお庭でした。
家の中の経年変化
木部はぐっと色が濃くなっているなと感じました。これは2階の天井を写したもの。勾配天井の板張り仕上げなので、梁などの構造が見えます。
天然住宅では金物をなるべく使わず、木を組んで家を建てます。長い材が使えるのも、プレカットではなく手刻みだからこその特徴なんです。
特にお手入れはしていないという下足箱。年数を経るごとに表面の建具は艶々と光るように。
Sさん家にとって、なくてはならないのがペレットストーブです。子どもたちもシーズンが近づくと、「そろそろつけないの？」と待ちわびた様子を見せるそう。時々焼き芋も作り、ストーブ暮らしを楽しんでいます。
朝ドラ「おかえりモネ」でも話題になった、杉の間伐材で家具が作れる木工キット「組手什（くでじゅう）」を愛用いただいてます。収納に大活躍！
すまうとの椅子を発見！家と同じで経年変化を楽しめる無垢の木でつくられています。お子さんが貼ったシールがなんとも微笑ましいです。
Sさんご家族は暮らしはじめて10年目に、栗駒の伐採体験イベントに参加してくださいました。
「子ども達に色々なことを体験させたい。自分たちが住んでいる家の木はここから来ているということを伝えたかった」そんな思いが参加の動機にあったといいます。薪割りや伐採、大人数での合宿のような経験など、普段なかなか味わえないことをしていただきました。子どもたちも楽しんでくれたようです。
Sさんご家族とは、この伐採イベント以来、約2年ぶりの再会でした。家の経年変化を見せていただけたのはもちろん、色々なお話を伺えてとても有意義な時間でした。
帰宅後、Sさんからこんなメッセージをいただきました。
「近年、SDGsが大きく取り上げられていますが、天然住宅はSDGsそのものだと思います。立ち上げ当初から、持続可能な社会の理念を実践していたことは素晴らしいと思います」。
このような建主様の存在に支えながら、天然住宅は成り立っています。特にSさんは設立して間もない頃からのお客様。当時はまだ実績も少なかったので、家を建てるのもハードルが高かったと思います。でも選んでくれた。応援してくださっているその想いに、これからも家を建て続けることを通して応えていきたい！と強く思いました。
Sさん、ありがとうございました！
おまけ（ペレットストーブのこと）
天然住宅で家を建てる方の約半数が、暖房器具にペレットストーブを導入されています。ペレットストーブは、再生可能なエネルギーで暖を取ることができる、天然住宅でもおすすめしている暖房器具のひとつです。
環境やライフスタイルにとって使用頻度は変わりますが、Sさん一家の使い方を教えていただいたのでご紹介しますね。導入を検討されている方はぜひ、参考にしてください！
Sさん一家の場合
さいかい産業（現：信越ワークス）の国産ストーブを使用しています。
使用期間は11月下旬〜3月下旬頃まで。
使用時間は、夕方から夜にかけて毎日5〜6時間程度で、火力のダイヤルは小と中の間くらいにしているそう。
燃料のペレットは宮城県のくりこまくんえんから購入しています。
1袋（20Kg）が約1,000円。送料が別途1,500円（神奈川県の場合）かかります。
2〜3週間で3袋を使い切ります。
粉砕→乾燥→圧縮の過程を経てできるペレット 。接着剤を使わなくてもこんな風にかたまるんです。
灰を捨てる作業は、なるべく毎日実施しています。
細い煙突（8本）の掃除は1〜2週間に1回行っています。
ちなみにシーズンオフは除湿剤を入れておくのがおすすめだそうです。
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ペレット自体の価格はけっして高くありませんが、約10年前に比べて特に送料が大幅に値上げしてしまいました。ランニングコストを抑えるためには、なるべく居住地から近いところで調達するのが良いのですが、Sさんは「持続可能な林業を応援したい」という思いから、ずっとくりこまくんえんのペレットを購入してくださっています。
ペレットストーブについてさらに詳しく知りたい方はこちらの記事をご覧ください。
https://tennen.org/read_contents/10264
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