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【助産師に聞きました】助産院と病院でのお産、違いはなんですか?

突然ですが、皆さんは「助産院でのお産」にどんなイメージをお持ちですか?
よりナチュラルで家庭的な雰囲気。漠然とですが、そんなイメージが浮かびます。実際のところはどうなのでしょう。
 
助産院での出産を選択する人は、全体の1%以下だそうです。しかし天然住宅の建主様には、助産院で出産された方や、「したいと思っている」方、「したいと思っていた」方がけっこういらっしゃいます。何か共通項があるのかもしれません。

助産院での出産がどういうものなのか知りたくて、2015年に中野区でしらさぎふれあい助産院を開業された、院長の木村恵子さんに話を伺いました。
 

「家族のため」から「自分のため」に変わったお産


<< 以下、木村さんのお話 >>

自分自身が、病院のお産と助産院のお産の両方を経験していて、それが「全然違った!」という話をするので「どこが違うのですか?」とよく聞かれます。
 
これは、感覚的な部分が大きいので、言葉にするのがなかなか難しいのですが・・

病院でお産した時には「また産んでやってもよいかな」と思っていました。それは、兄弟がいた方がよいかな?とか、家族のためにとかの理由で、「私がもう一度我慢すればよいかな」という感覚です。
 
それが助産院でお産した時には、「もう一度このお産をさせてください。お願いします!」というような、自分のためにまたこのお産がしたい!という気持ちに変わったんです。気持ち良すぎて、あまりにも幸せ感が半端なかった。ふたつの感覚は似ているようで、まったく異なるものでした。

念願叶って3人目を再び助産院で産めた時には、もはやお産中毒になっていました。「あと何回でも産みたい!」と思い、この時初めて私は女に生まれて良かったと思ったんです。

このような体験をする人が増えたら、きっとお産する人が増え少子化なんかどこ吹く風みたいになるのではないかと思いました。その経験から、41歳で助産師になることを決めました。
 
実際、助産院でお産された方の中には、産んだ瞬間に「また産みたい!」という方がけっこういます。そして助産院で産む方は、やはり子だくさんが多いんです。
 

気持ちの良いお産の秘訣、オキシトシン効果って?


助産院でのお産と病院でのお産の違い。それを言葉にすることは看護学生時代のテーマでしたが、私は「愛」だと思っています。
 
では、病院の人達には愛がなくて、助産院の人達は愛が溢れているのか?というと、単純にそういうわけではありません。でも実際、助産院で働く方は、ママ達にいろいろやってあげたい人達が集まっている傾向がありますから、愛が溢れているとも言えるかもしれませんね。
 
そして、これまで学んだり経験する中で分かったのは、また産みたいと思えるほど気持ちの良いお産は、オキシトシンというホルモンの効果が大きいこと。オキシトシンとは、子宮収縮=陣痛を起こすホルモンであり、射乳と言って母乳を出すホルモンでもあります。
 
このホルモンは、リラックスしている時に大量に放出されます。
助産院でのお産のほうが、このオキシトシンが出る環境になりやすいのだと思います。

たとえば陣痛が来た時に、助産院に電話します。そうすると「あら〇〇さん、そろそろ来る頃かと思っていたわよぉ」と、自分のことを良く知ってくれている助産師が自分を待っていてくれたかのように優しく声を掛けてくれます。それだけでもリラックスしますよね。
 
さらに助産院に到着すると「待ってたわよ~」などといつもの優しい声で迎えてくれます。さらにリラックスしてぐんぐん子宮の収縮はやってきます。
 
収縮がこないと赤ちゃんは出て来られないので、良い収縮が来るように助産師さんがケアで緩めてくれます。そして痛みがくると、温かな手で痛いところをさすってくれます。なんだか一人で耐えるより、その痛みを楽に逃すことができるから不思議です。
 
そして痛い時にはずっとそばに付いていてくれるので、怖くありません。うまく逃せると「良いわよぉ」「上手ねぇ」とほめてくれるので、なんだか自分がお産のプロになったような気持ちになります。
 
そしてクライマックスで赤ちゃんの頭が出る頃に、思わず声が出たりしますが、怒る人なんて誰もいません。「声が出ると赤ちゃん出るからね~」「いいわねぇ」とまた肯定し、ほめてくれます。
それを繰り返しているからか、赤ちゃんが生まれる頃には「自分ってすごい!」と思えたりします。
 

これは、リラックスできるように声を掛けてもらったから、いっぱいほめてもらったから、などの理由もありますが、オキシトシンに加え、βエンドルフィンという、なんだか幸せを感じさせてくれて、痛みや辛かったことも忘れさせてくれるようなホルモンが大量に放出されることも関係しています。
 
さっきまでとても痛がって「もうイヤ!」と思っていた人が、お産が終わった途端に「また産みたい!」と別人のようになったりするのも、このホルモンのおかげなんです。
 
これらのホルモンが出るには、何よりリラックスした状態でお産にのぞむことが大切です。そのためには、お産の時だけでなく、妊娠中からの関わりが大切です。できれば同じメンバーが健診の時に付いてくれて、繰り返しの健診で仲良くなっていく。良好な関係性ができていれば、きっとお産の時に同じ人が温かく迎えてくれるだけで、安産になりやすい状況はすでに整っていると言えるのではないでしょうか。
 
一概に言うことはできませんが、助産院でのお産のほうがリラックスしやすく、オキシトシンやβエンドルフィンといったホルモンが出やすい環境になるのだと思います。
 
***
 
次回は、「助産院でのお産の魅力」についてご紹介します!

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