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【Q & A】木を伐って家を建てることは環境破壊にならないの?

こんにちは、代表の田中です。
今日から新しい読みものをはじめます!
 
皆さんの中には、家づくりを誰に(どの会社に)任せたらよいか、たくさんの会社があるからこそ迷われている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
 
決め手はひとつに限りませんが、「会社の価値観に共感できるか」は、パートナー選びの大事な指標のひとつではないかと思っています。
 
世の中には数多くの住宅会社があり、それぞれにミッションやビジョン、大切にしている思いや価値観があります。家を建てる方にもそれぞれの価値観があり、大切にしたい思いがあると思います。

家づくりは人生においてとても大きなプロジェクトです。だからこそ、そういう部分も大切にしながら考え、選択していただけたらと思っています。

この読みものでは、お客様からの「よくある質問」をもとに、僕らが家づくりで大切にしていること(価値観の部分)をお伝えしていきます。

天然住宅のことをより深く知っていただいたり、価値観に共感できるかのすり合わせをしていただいたり、皆さんにとっての家づくりを考える上でのコンセプトをつくるきっかけになれば嬉しいです!

第1回目は、「木を伐って家を建てることは環境破壊にならないの?」という質問をとりあげます。

このような疑問をお持ちの方は、たくさんいらっしゃるのではないでしょうか?

たしかに、木をたくさん使って家づくりをすることを考えれば、そのように思いますよね。
「家一棟に使う木材が300本」と知ったら、丸裸の山肌をイメージされる方もいるかもしれません。
 
この答えに関しては、半分その通りと言えます。
それは、外国産の木材を使う場合です。外国産の木材では違法な伐採(皆伐)が行われている可能性があるからです。

そこでは現地の人々の生活や生態系を壊すような林業が行われています。そのような伐採をした木材を使うことは環境破壊につながりますし、人権侵害とも言えます。

そして外国産の木材は、どのような森から届けられているか、その素性を知ることがとても難しいです。例え「認証」をとっているような木材でも、違法な伐採がされていたことを指摘される場合もあります。

また外国産の木材は輸入する際、基本的には薬品による防虫処理が施されます。運送にかかるCO2の排出も国内産の木材を使用するのに比べると多くなるのは必然です。
 

先ほど「半分その通り」と書いたのは、選択次第では環境破壊にならない、むしろ森を守るような家づくりが可能になるからです。天然住宅の設立背景にもそういう家づくりをめざしたい、という思いがありました。

具体的にどういうものかというと、「国産の無垢材で家をつくり、木材の成長よりも長く住む」という考え方の家づくりです。

詳しく書いていきます。

森林大国の日本。なぜ今でも外国産材が主流なのか?

ご存知の方も多いと思いますが、日本は森林大国です。国土の約2/3が森林で、その量は毎年の成長率を加味しても、日本の住宅着工件数を充分かつ持続可能に賄える量があります。

にもかかわらず、外国産の木材でつくる家・建築が現在の木造住宅の主流です。

長らく外国産の木材は国産の木材よりも安く仕入れることができました。その時に作られた流通システムを今更変えることは並大抵のことではありません。その間に国内産地の製材所は減り、原木市場は衰退し、産地と街側の関係は希薄になっていきました。今や国産材の値段のほうが落ちているにもかかわらず、外国産の木材は変わらず多く流通しています。

この度のウッドショックでは、国産材は山にたくさんあるにも関わらず、街側にそれがなかなか届かず、価格高騰が起きました。それは、流通するための仕組みがなくなっていることが、問題の影響を大きくしてしまったと考えられます。
 
もう一度、国産の木材を流通させるための機能を復旧しなければいけないと思います。
 
家づくりを環境破壊的なものにしないために、一つは国産の木材を使うことをしていかなくてはならないと思います。さらに言えば、「その森の施業が持続可能か?」ということも確認できると尚良いと考えています。
 
先のイメージ通りの丸裸(皆伐)にする林業は、山側では「常識的な林業」「主流の林業」です。また林野庁が奨励している方法でもあります。

 
上の図のように、50年で森の木を伐採し、出荷し、もう一度イチから植林をする。この方法で行う施業には補助金がでます。これが主流の林業になった理由の一つです。

丸裸にして植林することで一見「効率的」な林業ができているようにも見えます。

ただ、それは生態系や木の素性を問題にせず行う方法であり、環境破壊的な性格を有した林業と言わざるを得ません。また「効率性」という点についても疑問があります。

木を一時に大量に市場に出せば自ずと市場価格は下がりますので、山側の収入は目減りします。また、一度皆伐した山にそのまま苗木を植林できるかといえばそうではありません。しっかりと地拵えして植林できる状態にしなければいけません。植林した樹がうまく育つ保証もありません。

十把一絡に「木材」として扱うよりも、できれば使い勝手に合わせて市場に出せる(建築なのか家具なのか)方が、木を出す側にも使う側にも、もちろん山の環境にもメリットがあります。
 
森の生態系を壊さず、間伐や択伐を行いながら木材を出すこともできます。実際にそのような持続可能な林業にシフトしている(もしくは昔から行っている)山もあります。そのような産地から木材を購入し家づくりに使うことができれば山を応援することにつながります。

天然住宅では、国産かつ持続可能な林業を行う産地から木材を仕入れ、家づくりをしています。家を建てれば建てるほど森が守れる仕組みをつくり、2008年の創業以来そのやり方を守ってきました。

国産の無垢材で家を建てたり、産地との繋がりを大切にする会社は国内でも珍しくないかもしれません。しかし「その森の施業が持続可能か?」というところまで考慮している会社はほとんどないのが現状です。

知ろうとしなければ気付かないことではありますが、このような事実も頭の片隅に置きながら、家づくりを考えてみるのも良いと思います。
 

次回は「合板ではなく無垢材を使う」という視点から、環境破壊にならない家づくりについて考えてみたいと思います。

最後までお読みいただきありがとうございました!
 

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