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防災にも役立つオフグリッドのはじめかた

こんにちは、スタッフの井上です。
 
先月、2014年に横浜市戸塚区でお引渡しさせていただいた「オフグリッドハウス」の見学会を開催しました。 
遅くなりましたが、開催レポートをお届けします!

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オフグリッドとは、送電線(グリッド)から離れる(オフ)という意味です。
 
建主のサトウさまは、新築当初より送電線から電気を家に引き込んでいません。 
その代わり、屋根の上に乗せた太陽光パネルで発電した電気をバッテリーに蓄電し、電気を自給する暮らしを送っています。
 
サトウさまが、新築に際し自宅をオフグリッドにしようと思ったのは、2011年の東日本大震災がきっかけでした。当時住んでいたマンションは停電し、福島県では原発事故も起きました。エネルギーの問題が自分ごとになるとともに、これまでのお金やエネルギーに100%依存していた暮らしに危機感を抱いたそうです。
 
その後、田中優の書籍「原発に頼らない社会へ」や「地宝論」と出会い、できることなら自分で生み出した電気や食料で暮らせるようになりたい、と思うようになったそうです。

当時はまだ「オフグリッド」という言葉も世の中には浸透しておらず、「完全に電気を自給する暮らし」はとても大きなチャレンジでした。
 
しかし、サトウさまの暮らしがさまざまなメディアに取り上げられはじめると、一気に市民権を得、ひとつのムーブメントを巻き起こすまでになりました。 
 
きっとサトウさまが、我慢や忍耐でなく心から楽しそうに暮らしている様子が、多くの人に伝わったからだと思います。

当時は「新しい暮らし方」として紹介されていた「オフグリッド生活」も、自然災害が増えた今、今後は防災という観点から取り入れようとする人も、増えてくると思います。その流れは今後、もっと一般化していくのではないでしょうか。

見学会当日、サトウさまにはオフグリッド生活を支えるシステムのお話や、実際にどんな暮らしを送っているのかお話いただきました。 
当日の資料を一部お借りして、ご紹介させていただきますね。

オフグリッドハウスに暮らし始めて5年。初めて街中が停電になった日

▲お話の中で出てきた一枚のスライドが印象的でした。これは、見学会開催のちょうど1週間前に日本を襲った台風19号の日、サトウさまがご近所から自宅を撮った写真です。この日、この家に暮らして初めての停電を経験したそうです。辺りが真っ暗な中、自分の家だけに灯る明かりに「オフグリッドは防災にもなる」ということを改めて実感したそうです。

オフグリッドをはじめる、四種の神器とは?


▲サトウ家の電気を自給するためのシステム(太陽光パネルで発電した電気を再生鉛バッテリーに貯めて使用)をご紹介いただきました。
東日本大震災後、節電を意識した生活を送ることで、ひと月あたり約3,000円ほどまで電気料金を下げた状態でオフグリッド生活をスタートさせました。
イニシャルコストは約220万円。サトウ家の電気料金で元を取ろうとすると、60年以上かかることになります。

 
この話の時にご本人が会場に投げかけていたのは、「例えば車を買う時、元を取ることを前提に購入される方はどれだけいるでしょうか?」というものでした。そもそも「元を取る」という考え方自体、曖昧なものです。選ぶ本人が何に価値を置くか、ということなんだと思いました。

オフグリッドのランニングコストは?


▲自身が測定した、バッテリー充電率のグラフを見せていただきました。
梅雨時期以上に、日照時間が短く、太陽高度が下がり、暖房が必要な冬のほうが、電気が足りなくなるリスクは高まるそうです。
再生鉛バッテリーの場合、充電率が50%を切るとバッテリーが劣化しやすくなります。
この5年間で数回、50%を下回ったことがありますが、電気が足りなくなって停電したことはないそうです。

非常時にも使える太陽熱温水器のひと工夫


▲数年前には太陽熱温水器も導入されました。
地方に比べ、敷地の広さに限りのある首都圏では屋根の上に設置するのが一般的ですが、サトウさまの家では、地べたに直置きしていました。
温水器の側面には蛇口がついていて、必要であればタンクの中のお湯、約200リットルを出して使うことができます。
こちらも災害時にとても役立つと思いました。

▲温水器を導入したことで、ガス代が年間2万円ほど安くなったそうです。サトウさまの家はプロパンガスです。都市ガスだった場合、さらに減額が見込めそうです。

▲電気の自給に加え、家の前の畑で野菜を育て、食料も少しずつですが自給する生活を送られていました。家の中には大きなホワイトボードがあり、この冬の野菜づくりの計画が、かわいらしいイラストとともに描かれてありましたよ。何だかとても楽しそうでした。

お話を聞いて思ったこと


5年前にオフグリッドをはじめた時と変わらず、努力や忍耐といった無理を感じさせない、自然体で楽しそうに暮らされている姿が印象的でした。
 
冒頭にも書きましたが、これからさらに自然災害が増えていくだろうと言われている今、生きていくための防災をどうするかは、暮らしを送る上で切り離せない課題のように思います。
 
お話を伺うと、完全なオフグリッドは難しそうだなと思ってしまう自分もいました。コストもそうですし、メンテナンスも、自分がやるとしたら、ちゃんとできるのか不安もあります。
 
完全にでなくても、非常電源として、たとえば停電時に消えてほしくない箇所だけでも自給するシステムを入れるという考えもあります。
 
先駆者の知恵を借りながら、自分はどう暮らしていきたいのか?(何を大切にしたいのか)を省みてみることからはじめてみたいなと思います。そして小さくとも行動に移してみる。
 
サトウさん、ありがとうございました!

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