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【設計士の日々】天然住宅ってこんな家。標準仕様を深掘りしてみました#2


ご無沙汰しております。設計の神山です。

夕方5時ごろには真っ暗になる日の短さに少し憂鬱になるこの頃。年末まであと少し!やり残しがないように気を抜かず走り切りたいと思います…!

前回から引き続き、「天然住宅の標準仕様再発見!その2」です。
今回は基礎構造材についてご紹介していきたいと思います。

300年もの耐久力。堅練りの基礎コンクリート


基礎とは、建物自体の重量や構造に加わった力を地面に伝えて支える、大事な根元の部分です。
鉄筋コンクリートで基礎を造ることが一般的ですが、天然住宅ではコンクリートの仕様にもこだわっています。

天然住宅では、標準仕様として基礎コンクリートの水セメント比を50%以下としています。

水セメント比(W/C)とは、コンクリートを生成するセメントと水の割合を現しており、セメントに対する水の比がどれくらいかをパーセンテージで表記します。

値が小さくなるほど、つまりセメントの割合が大きくなるほど強度が増し、耐久性が高くなります。一般的な基礎コンクリートの水セメント比は65%ですが、天然住宅ではそれより値の小さな50%を標準仕様としています。

一般的な基礎の寿命が50年といわれているのに対し、計算上は300年もの耐久力があるのです。

水セメント比は「小さければ小さいほどよい」という訳ではなく、セメントの量が多すぎると流動性がなくなるため施工性が悪くなったり、乾燥収縮が大きくなることでひび割れのリスクが大きくなります。品質が十分に保たれる範囲で、できるだけ強度が強く耐久性のある仕様となっているのです。

4寸角の柱


木材は、引っ張られる力や曲げられる力に比べて、押しつぶすように圧縮される力に対して弱いという特性を持っています。木の枝を長手方向に引っ張ったり曲げることを想像していただくとイメージしやすいかもしれません。

曲げや引っ張りの力に対しては粘り強くしなるのですが、圧縮力に対しては限度を超えると耐えきれなくなり、はらみ出してしてポキッと簡単に折れてしまいます。

同じ長さで比べると、太い枝に比べて細い枝の方が座屈は起こりやすくなります。したがって、太い柱の方が構造的に堅牢であるといえるのです。

局部的に柱が折れて座屈してしまうことを防ぐために、柱の断面(太さ)に対する長さの比が基準法上でも定められています。

昨今プレカットでの木材加工が主流となり、木造住宅では3.5寸(105mm)角の柱が多くなりましたが、天然住宅では柱材を4寸(120mm)角を標準としています。

柱だけが太いとそれを支える下の構造材に負担がかかってしまうので、柱に接地する土台や梁の幅もそろえて4寸にしています。そうすることで、上から伝わる力をより多くの接地面で下の構造や基礎に伝えることができ、耐久性のある頑丈な住宅にできます。

柱を太くすることは、構造的な観点だけではなく、断熱性能の向上というメリットにもつながります。外壁廻りは柱と柱の間に断熱材が充填されますが、3.5寸の柱に比べ4寸の柱の方が2センチも厚く断熱材を充填することができるのです。それにより、空調機を使用しても少ないエネルギーで快適な温度や湿度を保つことができます。

天然住宅の基礎や構造材は、より高い耐久性や耐震性の住宅になっています。一世代だけのスパンで考えず、そのあとに続く2世代3世代目にも安心して長く住んでいただける住宅です。

それは同時に、その家の構造材や下地となった木材の寿命を延ばしているともいえるのではないかと考えます。

木材として生まれ変わった木が、最大限にその命を全うできる。
そしてそこに住む人に愛されながら受け継がれる。
そんな住まいづくりを考えていけるのは、天然住宅ではないかと思うのです。

こんな読みものはいかが?

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