
こんにちは。設計の神山です。
初夏の心地よい季節がやってきましたね。
これ以上暑くならないでほしいという思いもありますが、梅雨までの短いひと時を楽しみたいと思います。
さて今回は、天然住宅の標準仕様についてのお話です。
「標準仕様」ってなに?

「標準仕様」とは、家づくりの基本となる設計や素材、設備の基準のこと。
天然住宅では、プラン、工法、断熱、外装、内装、窓、照明器具、給排水設備など、住まいを構成するさまざまな項目に対して、あらかじめ一定の仕様を設けています。
たとえば、建築に使う木材は、合板を使用せず、国産の無垢材を使用。外壁にはシラス台地から採取したシラスを原料とする「そとん壁」、断熱材には調湿性に優れた「ウールブレス」、キッチンにはホルムアルデヒドを含まない「ホーロー製のシステムキッチン」など。
これらの仕様は、性能や耐久性、コスト・環境への配慮など、さまざまな視点から検討を重ね、私たちが「心からおすすめしたい」と思える選りすぐりのものを採用しています。

▲国産無垢材の構造材、ウールブレスの断熱、樹脂製サッシが標準仕様です。
今回は、そんな天然住宅の「標準仕様」の中でも、あまり目立たないけれど、実は大切なこだわりの詰まった仕様を掘り下げてご紹介します!
アースがとられている基礎
皆さんのご家庭でも、冷蔵庫や洗濯機、トイレのコンセントなどに「アース付きコンセント」が設置されているのを見かけたことがあると思います。
これは、漏電や静電気による感電を防ぐためのものですが、天然住宅では、水まわりはもちろんのこと、パソコンをよく使う書斎などにもアース付きコンセントを設置するようにしています。

▲アース付きコンセントを設置した書斎。電場対策をすることで、より安心して作業できる空間に。
家電製品から発生する微弱な電場の影響をできるだけ減らし、少しでも安心して暮らせる空間をつくりたい。そんな思いからです。
さらに、住まい全体の電場対策として、鉄筋コンクリートの基礎の鉄筋にもアース線をつなぎ、地中へ逃がす仕組みを取り入れています。
これは、家の中に溜まった静電気や、屋外の電線・近隣から流れ込んでくる電気を室内にとどめないための工夫です。

▲緑色の細い線がアース配線。基礎の鉄筋に流れた電気が、アース線を伝って地中へ。
現代の暮らしでは、家電や配線から常に微弱な電場が発生していて、それらに敏感な方は頭痛や疲れ、眠りの浅さといった不調を感じることもあると言われています。
そうした影響をできる限り抑え、心地よく過ごせる空間を目指して、この仕様を採用しています。
また、天然住宅で使用しているスチール製の分電盤は、金属製のボックスにより電磁波をある程度カットしてくれる効果も期待できます。
できるだけプラスチック製品は使わない
分電盤やコンセント、スイッチのプレート、照明器具など、こうした部品には一般的にプラスチック製品が多く使われています。
一方、天然住宅では、なるべくプラスチック製品を使わず、スチール・ガラス・陶磁器などの素材を選ぶようにしています。
それは、環境や身体への影響に配慮しているのはもちろんのこと、こうした素材ならではの風合いや温かみを感じていただきたいから。
質感が豊かで、木とよくなじみ、空間にやさしい調和をもたらしてくれます。

収納の中も湿気がこもらない工夫
収納の中の空気って、意外と動かないものですよね。
天然住宅では、押入れなどの収納内部にも湿気がこもらない工夫をしています。
たとえば、収納の扉には室内との通風を確保するためのスリットを設けた建具を採用しています。
また、押入れの中段はすのこ状に仕上げており、布団などを置いても湿気が溜まりにくくなっています。
こうした仕様により、室内の空気がどこかで行き止まりになることなく、家全体を自然に循環。さらに、余分な湿気は建物の自然素材が吸収したり、外部へと吐き出してくれるため、どの空間にいても快適に過ごせる住まいとなるよう設計されています。

▲押入れのふすまには上下に通気用のスリットがあり、中段はすのこ仕様になっています。
おわりに…
心地よい暮らしは、目に見える部分はもちろん、普段あまり意識しないような細部にも配慮が行き届いていること、その積み重ねによるものが大きいと考えています。
天然住宅では、そうした「見えにくいけれど大切な場所」にこそ、安心感や快適さのヒントがあると考え、日々の設計に取り組んでいます。
次回は、基礎や壁の中といった、住まいの“さらに奥深い”部分に隠されたこだわりび仕様についてご紹介しますね。どうぞお楽しみに。
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