こんにちは。スタッフの小野寺です。
先日、世田谷区成城にある「旧猪俣邸」を見学してきました。
数寄屋建築の代表的な建築家である吉田五十八の設計で、1967年に竣工した建物です。
2度目か3度目の来訪ですが、まぁ、かっこよかった。。
数寄屋と吉田五十八
数寄屋(すきや)とは、日本建築様式のひとつです。
茶の精神が生きており、派手な装飾はなく、質素で無駄がない建築です。
吉田五十八は、その数寄屋建築を近代化させた建築家として知られています。
数寄屋の精神を残しつつも、野暮ったくなりがちな部材をすっきりと納めています。
その研ぎ澄まされた意匠は、「シンプル」というよりは「無」とか「空」とか、そんな表現が合っているようにも感じます。
▲玄昌石の犬走り ▲深い軒の出
▲軒下の地面も軒の出に合わせて仕上げる ▲居間より中庭を見る。空間に陰影を。
外と内の距離感
あらためて感じたのは、外と内の距離感が、とても心地よいということです。
考えてみれば、私が好きな建築は、だいたいがこの理由のような気がします。
そして、日本建築の「らしさ」でもあると思うのです。
外と内の、そのあいだの部分がとてもうまく設計されていて、内にいるという安心感を持ちつつ、外を感じることができる。
外と内を分断せず、アナログに結びついていることが、心地よさをもたらすのだと思います。
▲幹を切り取る窓 ▲書斎から庭を切り取る
▲書斎と庭との距離感 ▲和室と庭との距離感
ずっと居たくなる建築
洗練された空間ならではの緊張感を感じつつも、原風景に触れたような安心感のある建築でした。
許されるなら、ずっと居たかった。そんな建築です。
そして、このような名作と言われる建築を残していくことは、本当に大切なことです。理屈抜きで残すべき建築は、日本にたくさんあると思います。
▲洗練された和室 ▲和室を外から見る。奥行と陰影。
「ずっと居たいと思える建築を、俺もつくってみたい!」
そんな少年のようなことを考えながら、背中を丸めて成城の大げさな豪邸たちの間をすり抜ける。
大丈夫。足取りは、確かじゃないか。
いやぁ、建築って、本当にいいもんですね。
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