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【設計士の日々】マンションリフォーム現場調査編

 
こんにちは。設計の神山です。

年末年始は思い切って豪雪予報の続く東北へ。
山形・青森・岩手を満喫してきました。

しんしんと雪深い街、演歌が染みました。
2025年もどうぞよろしくお願いいたします。

さて、今回はマンションリフォームを検討する際、最初の現場調査で注意しているポイントをご紹介します。

特に、住宅全体をスケルトン状態にしてから、間取りや設備を大きく変更するフルリノベーションでは、建物の設備や躯体の状況によってレイアウト変更に制約が生じる場合があります。

そこで、物件の購入を検討されている方にも参考にしていただけるポイントをお伝えします。

管理規約の内容確認


戸建てと異なり、集合住宅では遮音性能について規定が定められている場合が多くあります。

マンションでは、上階からの床衝撃音が下の階でどの程度聞こえるかを示す基準として「L等級」が設けられており、「L-40」や「L-80」などと表記されます。

L値は数字が小さいほど遮音性能が良いことを示しています。
マンションごとに基準となるL値が定められていて、一般的に「L-45」と定められていることが多いです。

また、リフォームやリノベーションを行う際は、規定に適した床材や工法を選ぶ必要があります。

「L-45」の遮音等級の場合、スプーンを落とした時のような軽く高い音(軽量床衝撃音)や、子どもが飛び跳ねたりした際の低く響く音(重量床衝撃音)の両方が、小さく聞こえるが意識することはあまりない程度と言われています。

マンションによっては、リフォームでフローリングへの変更自体を認めていない場合もあります。入居前に確認できるようであれば、事前に把握しておきたいポイントです。

床下地の状況


マンションでは、コンクリート躯体の上に、直に絨毯やフローリングなどの仕上げ材を貼っている場合と、「置床工法」といって、躯体の上に木下地などで上げ床をしてから、その上に仕上げ材を貼る場合の2つのパターンがあります。

後者の置床工法では、躯体と仕上げの床の間に空間があり(二重床になっている)、そのスペースに給排水の配管や電気配線を通すことが可能です。また、断熱材や遮音材を入れることで、断熱性や遮音性能を高めることができます。

 
一方、前者のように仕上げ材を直接貼る場合、床下に配管スペースを確保することができないため、水回り部分の躯体が周囲に比べて低く建築されることがあります。このような躯体床が下げられた工法を「逆梁(逆スラブ)」と呼んでいます。

逆スラブの場合、水回りの配置を既存位置から大きく変更するのが難しくなります
 
床下の構造を簡易的に調べるには、床を叩いて音を確認する方法があります。「コンコン」と軽い音がする場合は置床工法が採用されている可能性が高く、密に詰まった硬い音がする場合は、コンクリートスラブに直接仕上げがされている可能性が高いです。

多くのマンションでは管理室などに建築時の竣工図書が保管されていることがあります。竣工図書を確認できる場合は、図面から躯体の様子を確認することも可能です。

天井の梁の位置、換気扇のダクトルートの確認


水回りに設置された換気扇のダクトルートが天井裏でどのように通っているかを確認しておくことも重要です。

通常、キッチン・トイレ・浴室からの排気は、玄関側またはベランダ側の排気口に向かって排出されますが、そのルートを横切るように梁が通っている場合があります。

梁にスリーブ(配管用の穴)が空いている場合はそこを通して配管されていますが、スリーブが空いていない場合は梁の下に配管を通す形となり、その分天井を低くつくらなくてはなりません。

そのため、水回りのレイアウトを検討する際は、梁の位置とダクトルートの確保ができるかを事前に確認することが大切です。

 
リフォームの場合、理想的なレイアウトを実現できるかどうかは、既存の躯体や設備の状態をよく確認することが第一歩となります。
 
限られた条件の中で設計を進めるため、まるでパズルを組み立てるような感覚になることもあります。最適解を見つけた時は設計の醍醐味だと感じます。

また、新築とは異なり、解体してみなければわからない部分も多く、着工から竣工まで紆余曲折することもありますが、その分、出来上がった時の安堵感・達成感はひとしおです。

少し専門的な内容になってしまいましたが、マンションリフォームを検討されている方の参考になれば幸いです。

次回は、木造戸建てのリフォームで注意すべきポイントをお伝えします。

***

古い記事にはなりますが、リノベーションのプロセスを紹介した記事もあわせてご覧ください。
こちら

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