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住宅リテラシーを|田中優コラム #15

天然住宅へのリフォーム依頼



天然住宅で住宅のリフォームも受けている。しかしそもそもの建物が安普請で、長く持たない建物だった場合には、リフォームしてもコストパフォーマンスが良くない。リフォームした後に建て替えるなら、そのまま建替えた方が安い場合が多いからだ。どんな家を建てる場合にも、値段よりも長持ちする造りになっているかどうかを見てほしい。

天然住宅がリフォームを依頼されるもののほとんどが、室内空気の問題だ。新しい住宅でもホルムアルデヒド等の有害化学物質の臭いでたまらない、ビニールクロス貼りの室内が臭いといったものだ。それにお決まりの「水回り(風呂・トイレ・台所)をリフォームしたら、建替えた方が安上がりになりかねない。ところが残念ながら、今の家は長く使えるように建てられていない。天然住宅なら基礎は固練りコンクリートで最低300年はもつし、土台は最初からシロアリの嫌うヒバやヒノキを使っている。しかも壁内結露が起きない設計なので、カビもシロアリも発生しにくい。

小さな家礼賛



安くて広い家を求めるより、狭くても頑丈に建てられた家の方がいい。家の広さを考えてほしい。いろんな物を置くためなら断熱してなくていい。外に物置を建てれば足りるからだ。人間のいる広さはわずかなのに広い住宅にしたら、空き部屋ばかりのためにカネを払うことになる。「ダム御殿」と呼ばれるような、ダムで移転せざるを得なくなった人たちの建てた住居には、やたら広い家が多い。だだっ広い住居に年寄りが一人住まいしていて、電球一つ変えるのも難儀する家もある。家族数が最大のときに合わせて家を建てれば、後にムダになってしまうのだ。

家はミニマムが一番いい。敷地に余裕があれば、家族が増えても建て増しすればいい。岡山で建て替えしている我が家では、160坪の敷地に13坪の家だ。残りの土地はいざというときの「のりしろ」と考えている。その代わり頑丈に建ててきっちり断熱して、エネルギーがほとんど要らない家にしようとしている。たかが13坪だが、総二階なので26坪の広さがある。約86平方メートル、なんと東京で住んでいた時の家より広いのだ。余裕ができたら庭に小屋を建てる。くりこま木材の大場さんが作ったキットでは、板倉造りで断熱されて、建築確認が要らないロフト付6畳一間の小屋が、素材だけなら150万円で買える。これを庭に置きたいのだ。人が来ても、荷物が増えても、それなら困らない。

化学物質を使わないこと



リフォーム依頼の最大が有害化学物質の問題だと言った通り、家こそ安全な場所でなければいけない。化学物質が溢れるようになったのは1960年以降だ。それ以前はそんなものがなかった。だが一方で、日本は温度差・湿度差が大きいというのに断熱・湿気対策がされて来なかった。ここが改善すべき部分であって、木材をうまく利用していく知恵は残し続けるべきだったのだ。

100年経っていた我が家の古民家を解体したら、それ以前の木材が使われていた。しかも火災で燃え残った部分をそのまま柱にして使っていた。当時は森が今よりはるかに荒れていたのだ。木材が貴重で、燃え残りの木材でも使ったのだろう。化学物質を使っていない点で古民家はいいのだが、そのまま住むには困難がある。しかも柱は美しく見せるためにウレタンで塗装されていた。

今も昔も見栄えが優先してしまったのだろう。家を選ぶ人の住宅知識がもっと増えないと解決されない。ぜひもっと知ってほしいと思う。

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