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楽しいハイブリッド林業|田中優コラム #46

エコラの森へ



久しぶりに「エコラの森」に出かけた。現在は「くりこまくんえん(屋号は『くりこま木材』)の持つ森だ。かつてバブルの時代にリゾート開発されそうになり、バブルが崩壊すると倒産し、債権者が森を勝手に伐採して壊してしまった森だ。毎年二回ほど間伐と植林に出かけて10年ほどになる。最初に見たときは保安林地域まで乱伐されていて、どうにもならない森に見えたが、今やかなりきれいになってきた。間伐された森は適度に光が入って、美しい森になってきている。

「もう間伐する場所がなくなっちゃうんじゃないですか?」と聞くと、「いや、まだ先にたっぷりありますから」という返事。

そうであることを知っていて言う冗談だ。260ヘクタールという広大な森だ。ちっとやそっとできれいな森になるレベルではない。やろうとすると、ネコの手も借りたいほどなのだ。

牛の手なら




というわけでウシがいる。一年半ぶりに森にウシたちが戻ってきた。以前のウシは「県内から出してはいけない」という福島原発後の放射能問題で作られた条例に抵触して、種付けのために知らずに県外に出したせいでと殺されてしまった。かわいそうなことをした。同時にきこりの人たちにとってもかわいそうな一年半だった。ウシがいなくなると、下草刈りの作業が大変になるのだ。ここのウシは下草刈りのために飼っている林業用のウシたちだ。新たに来たウシたちはまだ幼くてかわいい。オスウシなのだが、まだ大人しくしてくれている。ぼくの作業服はバリバリ舐められたが、それもまだ愛嬌だ。

ハイブリッド林業とは




そして今回、ウマも入った。ウマは以前に「林業女子」の話のときに説明したが、木材を運び出す「馬搬(ばはん)」のためのものだ。しかしその姿を見ると誰もが乗ってみたくなる。子どもたちは乗せてもらってご機嫌に遊んでいた。大人も乗りたいのだが、「木曾駒」と呼ばれる小型のウマなので、ちょっと気が引ける。今度は「ばんえい競馬」に出場する、一トンを超える農耕用のウマが入るそうだ。「ばんえい」ならどんな体重でも乗せられるだろう。

そうそう、今回初めて耳にした「ハイブリッド林業」だが、「何と何のハイブリッドなの?」と聞いてみた。「ヒトと動物のハイブリッド林業」なのだそうだ。

『うん…、方向性としては、動物園に近づきつつあるな』

それはそれでとても楽しい場所であるのは確かだ。

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