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のらぼう菜|田中優コラム #73

ノラボーナという野菜




先日、宮崎で農業を営む友人から菜っ葉の苗と種をいただいた。「のらぼう菜」という。なんだか聞きなれた名前の気がしたが、「マラドーナ」の勘違いだった。サッカー界のスーパースター選手の話とは全く関係ない。

なぜ送ってくれたかというと、このアブラナ科の野菜はやたら交配する他のアブラナ科の植物と違って、まったく交配しないのだ。たくさんの種苗メーカーが新種を作ろうと交配を試みたが、未だにどこも成功していないという。ということはこの種は品種改良が困難で、まともな種苗メーカーで有名な「野口種苗」では販売されているが、基本的に販売よりも自分で採種して育てるのに適している野菜だということだ。ぼくがGMO(遺伝子組み換え作物)の話題をフェイスブックに上げたら、気づいた友人が「これは最も遺伝子組み換えから遠い作物だ」と送ってくれたのだ。

さらにすごいのは江戸時代の飢饉のときに、この「のらぼう菜」が多くの人たちを救ったというのだ。野菜は小松菜に似ていて、調理も同様に使うのがいいようだ。寒さに強く、生命力も旺盛で、育てやすい野菜のようだ。

炭とのらぼう菜



送ってもらったのはいいのだが、我が家はまだ菜園をやっていない。そこで以前紹介した「無煙炭化器」で焼いてあった炭と自宅の庭の土を混ぜ込んで、即席ながらの菜園を作ってそこに植えた。幸い「のらぼう菜」の生命力に助けられて、活着したようだ。

だが育ちつつある「のらぼう菜」の葉の形がおかしいのだ。ギザギザした菜っ葉になっている。生命力は強いが、鳥たちの絶好の餌になってしまっていた。おかげで丸みを帯びているはずの葉がギザギザになってしまっていたのだ。そこでネットを張り、鳥より先に人が食べられるようにした。なにせ我が家は鳥の楽園のような場所だ。朝早くから庭を毎日パトロールする鳥たちもいる。あまり見たことのないようなきれいな鳥が散歩しているし、春になればキジのつがいも現れる。「のらぼう菜」以上に生命力ある鳥たちとの取り合いになるのだ。

家庭菜園はじめました



朝の冷え込みが穏やかになった。日が延びて太陽光発電はせっせと発電する。余るほど発電する日も多くなり、そんなときは室内のエアコンをつけっぱなしにしている。明らかに春が近い。そこで庭に防草シートを張り、家庭菜園を作りつつある。排水が良くなるように溝を掘り、土をシートの下で発酵させている。生ゴミも分け、発酵させるようにシートをかぶせている。

農業は全くしたこともないが、それはそれで楽しい。若いころパセリが好きで、庭中にパセリを育ててマヨネーズ片手に食べ尽くしたいと思ったことがある。今はそこまでではないが、なんだかワクワクするのだ。自分で育てた野菜で自分が育てられるということが。ただ気になるのがぼくはそうしたいと思うが、他の人もそう思うだろうかということだ。ぼくが変わっているのか普通なのか、ちっともわからなかからだ。どちらにしても好きなように生きることに変わりはないのだけれど。

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