自給の家
今、天然住宅で進めているのが「自給の家」だ。「自給の家」は電気や温水、水を自給して、なにがあっても大丈夫な暮らしのできる家造り、それに加えて新たに進めようとしているのが「たべるにわ」プロジェクトだ。
家を建てるのに外構部分を含めるとほぼ半年かかる。その半年の間に庭の土作りをして、入居と同時に作物を植えられるようにしてしまおうというプロジェクトだ。そのためのワークショップを開催した。講師・実技共に「菌ちゃん農法」で知られる吉田俊道さんにお願いした。すると早速、水はけの点とか、土質の問題だとかに指示が出た。吉田さんは優しいし笑わせてくれる人だが、こと農業となると厳しいのだ。さすが元農業指導員と思うのだが。
パーマカルチャー・イン・タウン
イメージしているのは20坪程度の家庭菜園だ 。しかし侮るなかれ、たったそれだけの家庭菜園でも、穀物を除けばほぼ自給可能なのだ。イギリスのパーマカルチャー(自足可能な文化・農業)の人が、現実に23坪ほどの庭で自給をしている。公開されているかどうか不明だが、「パーマカルチャー・イン・タウン」という映像になっている。
元の庭はタイル張りで地面はこちこち、土はほとんどないという場所だった。しかも寒いロンドン郊外なので、日照時間も少なく凍害すらあるという場所だった。これと比べると日本は天国のようだ。だから同じことをしたなら、日本の方がはるかに狭い場所で可能になるはずだし、している人もいると思う。
これを家の建築と同時並行で実現したい。どんなに世界が変わってしまおうと、自分だけで食べていけるという安心感は大きいのだ。
たべるにわ
その吉田さんは最近「げんきっこ」ふりかけというモノを作って販売している。野菜や小魚を乾燥させてふりかけにしたものだ。当たり前の商品に思えるが、今風の言い方をすれば「スーパーフード」だ。
近年言われ始めた言葉に「新型栄養失調」という言葉がある。カロリーでは足りているのだが、微量元素が不足して「うつ」を起こしたり、疲れなどの身体的な問題を起こしたりすることだ。それらの説明を読むと「亜鉛不足」などの元素の欠乏が書かれているが、それより深刻なのが植物の持つ化学物質、第七の栄養素と言われる「ファイトケミカル(フィトケミカル)」や小魚の持つ微量栄養素の不足だ。そもそも生物を食べるときに 、一部だけ食べたのでは栄養素が偏る。全体を食べることが重要なのだ。それを補うふりかけで、ぼくも東京に出かけるときには持って行っている。
その「ファイトケミカル」をたくさん得られるのが自宅の菜園だ。自分で栽培するのが一番いい。たとえばカレーを食べたとしても、ファイトケミカル豊富な種や皮、成長点は除かれてしまうからだ。自分で作るならそれらを役立てることができる。
そのための「たべるにわ」だ。天然住宅に、また新しいラインナップが増えた。こんな進化が面白いと思う。