シロアリ被害
スタッフの田中竜二くんが天然住宅のブログで紹介してくれている。
シロアリの姿の写真はあまり見たことがなかったので、慣れないせいか「気持ち悪い」と感じる。
この写真はもちろん他社の建てた住宅で起きたことで、幸い天然住宅では未だお目にかかったことがない。
日本の南側では昆虫が元気で、その対策を考えておかないと長く使える住宅にならないのだ。そのとき面白いことに、木の種類を選ぶことでもかなり防げる部分がある。
実際の写真でも国産のヒノキなどは食べられておらず、よく使われているベイマツ、ベイツガなど外材を中心に食われている。
シロアリの根城
なぜか。
理由は簡単で、それらの国には日本のようなシロアリが広く分布していないからだ。そのおかげで日本の食べられにくいスギ・ヒノキを使うことで、少しは防げるのだ。
とはいえシロアリはすごく強く、ちょっとした油断で広がってしまう。まず今販売・流通されているスギでは、高温で乾燥させてしまうため、シロアリの嫌う精油分が失われてしまうのでその効果は期待できない。
そしてシロアリは適度な温度と湿気があれば、どこからともなく入り込み繁殖してしまうので、流行りの高気密・高断熱の建物だと安心できない。
シロアリはクロアリに食べられてしまうほど弱いので、良い場所を見つければそこを根城に広がっていく。特に冬場氷点下になるような北部では繁殖しにくいのだが、基礎ごと発泡剤で断熱してしまうと、そこがシロアリの根城になる。
寒い環境や外敵に弱いシロアリは、蟻道(ぎどう)を作ってその中を行き来するので、ときどき基礎近くのあたりを見回した方がいい。そこに蟻道があるならやられている可能性が高いのだ。
シロアリの役割
シロアリは体内にセルロースを分解できる微生物を住まわせているので、森のほとんどの木材を分解することに役立っている。熱帯やアフリカに行くと、大地ににょきっと生えたようなアリ塚を見ることがあるが、あれが他の微生物やキノコ、昆虫に役立っている。
そのままでは食べることのできない木材を、貴重な餌に変えてくれているからだ。もちろんシロアリ自体もよく食べられる。そう、シロアリはセルロースを分解して他の生物の餌となる、なくてはならない存在なのだ。
しかしだからといって住まいを食べられては困る。ホウ酸は面白いことに、人間のような大きな動物の毒消し機能を司っていて、私たちそのおかけで守られる。
しかしその腎臓・肝臓を持たない昆虫にとっては害となる。だからホウ酸を撒いておけば、食害した昆虫は死んでしまう。
だからホウ酸、そして次に湿気のない環境、冬を越せない寒さが大事なのだ。逆に言うと、高気密・高断熱はシロアリに居場所を与えてしまうのだ。もしそうした住宅だったなら、他に虫が嫌う環境を整えなければならない。
しかし防虫処理は人間にも危険で、安易に施さないことが大事だ。化学物質過敏症など、もっと怖いことになりかねない。