我が家の大黒柱を伐りに行こう!
天然住宅では「長持ちする家」を目指していますが、それは耐久性や性能面など技術的なことだけを言うのではないと思っています。住まう人の「長く住み継いでいきたい」という気持ちもまた、長もちする家の大切な要素だと思っているからです。
私たちのパートナー企業「くりこまくんえん(栗駒木材)」では、秋から冬にかけて家づくりに必要な木材を伐採します。希望される建主さまには、山に足を運んでいただき、現地の木こりと一緒に大黒柱や梁を伐っていただきます。
このような体験を通じ、家への愛着を深めていってほしいという思いもありますし、何より家づくりを楽しんでもらいたいと思っています。
今回の家づくりのアイデア帖では、「我が家の大黒柱を伐りに行こう」をテーマにお届けしたいと思います!
▲「命をいただきます」と感謝をこめて。
木を伐る前に必ず行う儀式です
▲私たちが届けたいのは、木材一本の伐採からはじまる家づくり。その背景にあるストーリーも含め、味わっていただきたいと思っています
▲チェンソーを持つことが初めての人がほとんどです。木こりさんからしっかりとレクチャーを受けます
▲家族も見つめます。「おとうさん、がんばって」
▲まずは「受け口」づくりから。木を倒す方向を決め、伐採したい方向に垂直になるように「受け口」をつくります ▲受け口をつくる際に伐り取った材。記念に持ち帰る方も多いです ▲受け口ができたら、反対側に「追い口」と言われる切り込みを入れていきます ▲最後は「まさかり」で倒していきます。3才のお子さんも挑戦しました ▲最後は、お父さんと一緒に。この日のこと、覚えていてくれたら嬉しいなぁ
これまで多くの建主様が山に足を運んでくださいました
チェンソーの音や、木が大きな音を立てて倒れていく様はとても迫力があり、中には泣き出す子もいます。驚いたり怖いという感情がわきあがってくる子もいれば、目の前で命が終わりを迎えることに、どうしようもない悲しさを感じた子も過去にはいました。木を伐り倒すお父さんの姿を見て、「かっこいいね!」と言ってくれた子も。子ども達もまた、何かしらの思いを抱いてくれています。命に直に触れるようなこういう生の体験を、たくさんの方にしてほしいと思います。
伐った木材はどうなるの?製材所も見学します
▲「持続可能な林業」を実践する、くりこまくんえんの製材所 ▲製材されたばかりの木。肌触りが気持ちいい!
第二の木生(人生)がはじまる
▲山で伐った木が、街に運ばれ、家の一部になるということ。“第二の木生”(人生)がはじまるのですね ▲毎日、見えるところ触れるところに大きくて太い木がある。家も人も一緒に育っていく。そんな風に思っていただけたら・・
家づくりは命をいただくことだから
天然住宅で家づくりにたずさわる仕事をしていると、家はつくづく「買うものではない」と感じます。たくさんの命をいただいて、形になっているのだなぁとも。
我が家に使われている木は、どこで生まれ、どこで育ったのか。誰が伐って、どこで製材されたものなのか。完成した家だけを見ても、その工程はなかなか想像できないかもしれません。現地に足を運び、実際に見て、話を聞いて、そうやってさまざまな過程を経ていることを知ると、「家そのものの成り立ち」に想いを馳せることができるようになるかもしれません。ひとつの体験や実感が想像力を補ってくれるように。
そのような体験が、家に対し、日々手をかけたり、大切に住むことにつながっていくのかもしれません。そのような日々を重ねていくことで、愛着心もじんわりと育っていくのかも。経年変化が、ただ「古い」と感じるのでなく、「味わい」として感じられる、そのような想いにもつながっていったらいいなぁと思います。
それらは暮らしの中に、ひとつの豊かさをもたらしてくれるように思います。そんな家づくりを、これからもお客様に届けていけたら幸せです。
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その他の家づくりのアイデア帖
Vol.1 >>玄関土間
Vol.2 >>木製玄関扉
Vol.3 >>子ども部屋の使い方
Vol.4 >>和室事例集
Vol.5 >>造作洗面台