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落ち着いて、学びを楽しむ暮らし|田中優コラム #172

何だか初めてのことかもしれない。こんな風に焦る気持ちもなく、急がなくてはならない気持ちにならずに本を読むのは。これまではいつでも「早く理解しなくては」と焦っていたし、「これが終わったら次はこれ」というように次の本が待っていた。今はその焦りがない。それだけですごく自由に解放された気分だ。
 
まずカネを稼がなくてはならないという強迫観念から解放されたことが大きい。暮らしをミニマムにして、必要最低限を自給するような暮らしにしたからだ。「電気・水道・熱」のほとんどを自給することで、外から買わなければならないものを最小にした。そのための設備にだけ資金を集中させた結果、少ない経常支出で足りるようになった。

その支出の中で気をつけたのは「定常的な支出」を避けることだ。新聞は止めた。情報はインターネットで得ればよい。同じ考え方でテレビより映像配信に頼り、水道ではなく井戸に頼り、固定電話より携帯通信に頼る形にした。
 
おかげで我が家は電線、水道管、電話線につながっていない。しかし大学での授業がオンラインになり、回線が不安定になってしまったので、回線だけこれから「光通信」に変えなければならない。我が家でつながっている唯一の「ライフライン」だ。
 
収入はわずかながらの年金の支給が始まった。二十歳になる前から払ってきた年金の受給年齢に達したのだ。まだ全額支給されてはいないが、あと二年すると満額支給が開始される。面白いのは若い頃から惜しみなく出してきた善意が、なんだか今になって戻り始めた感じなのだ。見返りを求めていたことではないし、戻ってくるのは善意を届けた本人からではない。しかも多額の資金は求めていない。でも何だか巡り巡って返ってきている感じなのだ。
 
最低の暮らしだけなら、もうこれで可能なのかもしれない。そのせいだろうか、もう焦らなくていいという気持ちになった。でも最大の功績は「欲から離れた」ことかも知れない。食べ物も多くは食べられないから必要以上はいらないし、愛情を感じている家族が満足してくれれば、それ以上に望むこともない。そうなると自分の好奇心だけが突出してくるが、それが今の読書や知識欲なのだと思う。誰のためでもない。ただ自分が知りたいことに目が向かうのだ。

 

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