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本当に「高気密、高断熱」がいいのか(上)|田中優コラム #201

 以前に紹介した「慧通信技術工業」の粟田さんが気になることを言っていた。粟田さんはすでに三回も住宅を建てているのだが、その彼が「高気密、高断熱」の家を建てたが好きではないと言っていたのだ。いわく息が詰まるようで、ここまでして良いことがあるのかということだった。気密性が高いので、クルマのドアを閉めた時みたいに密閉されて確かに断熱性は高いらしい。だけど室内に空気が通らない気密性が、「息苦しさ」の原因みたいだ。でも通気性があるということは、熱も通り抜ける。断熱性が高いにしても、通気性があるということはその分だけ熱が逃げる。
 
 天然住宅の家は「高断熱」だが「高気密」ではない。室内と屋外を比べたら、どこでも屋外の方が空気はいい。そして「高気密、高断熱」の家が流行すると、室内の空気の汚れが問題になって「24時間換気」が義務化された。天然住宅の住まいなら、接着剤の臭いのするベニヤ板は全く使っていないし、壁紙にも全く使っていない。シンナー臭のような臭いのある物質は全く使っていないから、化学物質の匂いに悩まされることがない。だからわざわざ強制換気をする必要はないのだ。しかし「24時間換気」はすべての住宅に義務化されてしまったので、基準に従って設置している。だが天然住宅で建築した我が家では、「24時間換気」のために付けられた開口部は、必要がないので塞いでしまっている。
 

 通常の天然住宅の仕様では、家の気密性は高くない。小さな空気の通れる隙間が、木質だらけの壁、ウールの断熱材の隙間を抜けていくのだ。木だって羊毛だって隙間があるのが当然だから、そうなっているのだ。

 しかしそれでも多くのメーカーや建築家は「高気密、高断熱」の性能を言う。それを聞いてばかりいると、天然住宅が悪いみたいに思えてくる。確かに「断熱性」は重要だが、「気密性」それ自体は本当に必要なんだろうか。気密性能の試験では、室内空気に圧力(負圧)をかけて中に漏れてくる空気を測り、室内平均で何平方センチメートルの穴が開いているのと同じかという表現をする。気密性を求める結果、アリの隙間どころか、わずかな空気の通り道まで塞ごうとする。それで合板とビニールと接着剤が多用されるのだ。

 空気というのは窒素が70%で酸素が21%程度だ。主な窒素は「N2」の形で存在する。ここに雨の日の水蒸気を考えてみよう。それは「H2O」だが、元素記号の周期表を思い出してほしい。一番小さなものが「水素(H)」で、次が「ヘリウム(He)」と並ぶのだが、これは元素の大きさを示している。水素は陽子一つで周囲を回る電子が一つ。でも一つでは安定せず水素として存在するのは水素二つで周りを電子二つが回っている。
 
 さて、さきほどの窒素も二つでやっと安定するので窒素二つの周囲を陽子の数と同じだけの電子がまわっている。原子量14なので、二つで28になる。それに対して水蒸気はH2Oだから酸素の原子量16と、従えている水素は原子量1なので合わせて18になる。窒素は28あるのに水蒸気はわずか18なので、水蒸気の方が断然小さい物質なのだ。「高気密」で対応するなどというのは無理なのではないか。
 
(中)に続く

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