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「偽ホルモン(内分泌ホルモンかく乱物質)」にボリュームスイッチはない|田中優コラム #214


 ぼくは以前から、微量の「内分泌ホルモンかく乱物質」を気にしている。「内分泌ホルモンかく乱物質」は、食品や食品の容器、建築に使われる建材など身の回りの様々なものに含まれており、なるべく摂らないよう、子どもに摂らせないよう気を付けているつもりだった。
 
 でも今回、「病み、肥え、貧す」という本を読んで認識を改めた。これには「オンオフのスイッチ」はあるが、「ボリュームのスイッチ」がなかったのだ。そもそも正常な「内分泌ホルモン」は、性的な成長などに向けてのスイッチで、年頃になるとヒゲが生えるような指示を出すものだ。
 
 でもそれは「多量に摂る」ことによって影響があるような「ボリュームスイッチ」があるものと考えていて、「ADI(一日摂取許容量)」や「TDI(耐容一日摂取量)」というようなもののように一定量を超えないようにすればいいと考えていた。
 
 ところが違うのだ。そこにはほんの微かな量で作用してしまう「偽ホルモン(内分泌ホルモンかく乱物質)」があって、「オンオフのスイッチ」しかなかったのだ。このことは大変な問題である。例えば殺虫剤に含まれる「ネオニコチノイド」など、今では果実や茶葉だけでなく、地下水や水道水からも検出される。嫌な話だが、雪解け水にすら含まれるというのだ。雪なんて、虫がいない時期にしか降らないというのに。
 
 量的なスイッチがあれば「あまり摂らないように暮らす」ことで被害が避けられたり、安全な量だけ摂ることで今まで通り暮らしたりできる。でもそれがないとしたら、完全に排除するしかなくなる。ところが未だに「ADI(一日摂取許容量)」や「TDI(耐容一日摂取量)」でしか規制されない日本では、それができない。
 
 学校給食に混じっていれば、子どもが摂らないのは不可能だ。無農薬有機を徹底しなければスイッチがオンになってしまう。例えばEUでは、ネオニコチノイド農薬を何種かはすでに禁止している。そうしてくれないと子どもを守れない。日本では家庭の食事を有機無農薬にしたとしても、学校給食はどうにもならない。わずかな量でスイッチが入ってしまうのだから、実質的に回避が困難なのである。
 
 日本の食品の基準は「ADI(一日摂取許容量)」や「TDI(耐容一日摂取量)」で判断される。しかしこの安全基準は、「内分泌ホルモンかく乱物質」に通用しない。そして調べていくと、その被害は孫世代に影響を及ぼすことがわかった。マウスの実験で、「偽ホルモン」を与えたマウスの母の孫世代に「食殺(母マウスが子を喰い殺すこと)」が現れた。
 
 このままでは、世代を超え、忘れた頃に多大な被害が出ることになる。たかが「偽ホルモン」が測れないほど微かに含まれていただけで。なんて厄介なものを開発してくれたのだろう。まるで人類に対する緩やかな絶滅計画ではないか。(次回に続く)
 

【参考記事】
「無農薬食材を給食に 三島の母親5人、プロジェクト始動」(あなたの静岡新聞より)
https://www.at-s.com/news/article/shizuoka/1067136.html
※天然住宅の家に暮らす建主様が、地域に暮らすお母さん達と一緒に起ち上げたプロジェクトです。インスタグラムは >>こちら

 

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