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継続的な支出を削減した暮らし|田中優コラム #227


フェイスブックで、「住宅ローン破綻の現場」というドキュメンタリーが紹介されていて、それを見た。定年退職後の私と同年輩の人々を襲っている悲劇の話だ。定年間近の人たちが、家賃を払い続けるよりもマシだと思って家を買い、様々な理由で年収が減ってローン返済ができなくなり、家を手放すしかなくなった人々のドキュメンタリーだった。

とても気の毒だと思う。家がなくなっても、皮肉なことに家賃を払い続けてどこかに住まなければならない。しかもせっかくマイホームを手放したというのに、ローン残額を埋め切れずに新たな家賃負担に加えて残債を払い続けなければならない。

ぼくは環境問題を気にしているが、もしその人たちのようになっていたならば、環境問題どころの話ではないだろう。そんなことより今の自分の収入のことが気にかかるし、それを何とかするために悩み続けるだろう。

つまり「環境問題」を気に掛ける以前に、もっと気に掛けなければならないことがあれば、それどころではなくなるのだ。日本では環境問題以前に「SDGs(持続可能な開発目標)」が注目されているが、確かに「飢餓や貧困」という事態が問題になっていたなら、とても環境問題までは気が回らないだろう。そういう意味では貧困化した日本の現状では、この問題設定の方が現実的かもしれない。

ではぼく自身はどうかといえば、真面目に生活してきたが残念ながら社会の仕組みに従順に生きられるタイプではなかったから、年金収入は決して豊かなレベルではない。ただしそうなることを見越して、準備を心掛けてきたことがある。

「現金がなくても生活できるようにしておくこと」だ。

東電の原発事故を理由に、中国地方へと転居してきたが、その転居を機に毎月支払わなければならない定期支出を見直した。地方というのは予想外に借家・借間料が高い。安く買えるのは家族全員が転出した家だが、残念ながら真新しい物件はない。


さらにこれは日本全国で言えることだが、長持ちするような造りの家はほぼなく、「化学物質を使っていない家」など想定することすらできない。要は安普請の中古住宅か、化学物質は少ないが恐ろしく古い古民家しかない。我が家も最初は古民家に暮らしたが、断熱に乏しかったので冬が寒く、天然住宅仕様の家に建て替えた。選んだというよりそれしかなかった感じだ。これで毎月掛かる住宅費は少なくなった。

次に毎月の「光熱水費」だ。自宅の庭に井戸があったので復活させて井戸ポンプで汲み上げることにした。次に暖房は灯油ストーブをやめて、木質ペレットを利用したペレットストーブにした。そして、原発に追われてきた時から念願だった「電力自給」にした。太陽光パネルと蓄電システムによる電力自給は、古民家を天然住宅に建て替える前に実現させた。

その後に太陽光発電パネルを増設したり省エネ製品に切り替えるなどしたが、ここまでは早い時点で無理して実現した。そのおかげで固定的な支出を最低限で暮らせるようになった。電気代や水道代は要らない。さらに太陽熱温水器も入れたので、プロパンガス代も最低額にまで下がった。

これが無理のない暮らしを実現した方法だった。それがなければ今も継続的に支出しなければならない費用に追われていたと思う。


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