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心の底がほっと暖かくなる|田中優コラム #229

 
これまでも書いてきたように、言うまでもなくぼくは金銭的に豊かではない。しかしカネを欲しているかというと、ほとんど欲していない。

SNSを見ていると、稀に「こうすれば豊かになれますよ」とか、「こうするだけで儲かります」とか、「これは買いですよ」みたいな記事が届く。稀というのは控えめな言い方で、むしろそんな広告記事の氾濫の中を、掻き分けながら必要な情報を見つけているような状況だ。

とにかく金持ちじゃないことがいけないように言ってくる。そんなことを言われても、もうぼくに欲しいものはないし、あまり食べられなくなったし、自給しているものが多いから買う必要もないのだが。
 

 
でも、今日は「生ごみカラット」というものを買いたくて友人に連絡を取った。何かというと簡単なザルのようなものだ。ここに生ごみを入れると水が漏れる。だから水が出ないように捨てれば、生ごみがカラっと乾燥する。それを外に干しておくといいそうだ。

我が家のような田舎の家ではいくらでも干すところがある。洗濯物は今や洗濯乾燥機に入れれば自動で乾燥してくれるから、物干し竿はほとんど使わない。だからそこに掛けておけばいい。

生ごみカラットの何がすごいかというと、これだけで地域のゴミ処理が大幅に軽減されることである。

 
地域ゴミの内容を見てみよう。ぼくの地元の岡山市の例で、「燃えるゴミ」の「重量」と「容積」について分析した組成が示されている(上の図)。簡単にとても多い「三大ゴミ」を示すと、重量比で紙が22.2%、生ゴミが33.67%、プラスチック類が32.28%となっている。主たるごみのこの3つだけで重量の88.15%を占める。
 
残りには「木草や繊維」などがあるが、紙が半分弱、生ゴミが2割、プラスチックが2割となっている。これをいっしょくたに混ぜ込んで、「燃えるゴミ」として捨てている。

特に生ゴミからしみ出した水分は、回りの紙や木草、繊維などにしみこんで、びちゃびちゃにしてしまう。そのせいで「燃えるゴミ」という名の「水だらけで燃えないゴミ」になっている。おかげでゴミ焼却場ではこれに重油を掛けて燃やす。そのおかげで、地方で一番の二酸化炭素の排出源は、ゴミ焼却場になってしまっているのだ。

 
これを解決したければ簡単なことをすればいい。生ごみを乾燥させてから捨てればいいのだ。それだけのことで解決できる。そのために必要な道具は、水を切るためのザルと、コバエが寄らない網だけだ。まさにそれだけの品となっているのが「生ごみカラット」なのだ。エネルギーも使わないし千円もしない。こんなに安くて簡単なものはメーカーも開発しないし、売り物にもなりはしないだろう。それをゴミを考える市民団体が作ってモニター販売した。だから「これぞ」とぼくは求めた。狙いとしては自治体に協力してもらって販売し、本気でゴミ問題の解決と温暖化防止をしたいようだ。

買い求めたのは知人からだった。そして販売元を紹介してもらったら、その人もまたぼくの講演会の参加してくれた人だった。なんだか実に簡単にルートが開かれてしまったのだ。これを買って、今一緒に考えている市の「温暖化防止計画策定委員会」の人たちにも見せたいと思う。
 
そんなことを進めるために連絡を取ったら、つながり合う人たちの間にほっとするような暖かさを感じた。このつながる感じが、金儲けの話よりずっとうれしい。
乾燥させた生ごみはコンポストにするのも簡単だ。そんな簡単なことでゴミ問題の大半は解決できるのである。




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