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【建てるヒト】木を見て森を知る 〜家づくりの意味とは〜 (上棟編)


都内に自宅を新築中の黒田と申します。
 
定年退社を機に、快適に、安全に、できれば環境に負荷をかけないで過ごしたいという思いから、天然住宅さんに家づくりをお願いしました。
 
家づくりとは何だろうと自問することがあります。打ち合わせを重ねるうちに、ただ住む場所をつくるためだけの営みではないように思えてきました。
 
このブログでは、私が家づくりを通じて感じたことをお伝えしています。
前回の伐採体験編に続き、今回は上棟編。
大工さん達の素晴らしい手仕事の技や、決断の連続である家づくりの決め手について、私自身が感じたことが伝われば幸いです。
 

五感で感じる家づくり



時折落ちてくる雨粒も気にせず、10人ほどの職人さんたちが、足場の上を上下左右に動き回っています。巨大なクレーンで太い柱や梁を吊り上げ、一本ずつ組み合わせます。次第に家の骨格が現れてきました。

梅雨最終盤の7月中旬、わが家の上棟を見学しました。
作業の中心にいるのは棟梁の藤野さんです。
仲間の大工さんの中村さんと一緒に、ネパール人の職人さんたちに指示を出し、流れるように作業が進んでいきます。

梁と梁、柱と梁の継ぎ目を木槌でたたくと、小気味よい音が響き渡ります。
「槌音」って、このことなのでしょうか。「復興の槌音が聞こえる」と言う時の「槌音」です。
本当の槌音を聞くのはこれが初めてです。
人の手で家が造られていく。それが五感で感じられます。
 

大工歴50年。藤野さんが見せる手仕事の技

藤野さんに初めてお会いしたのはひと月前でした。
相模原の作業場を訪ねると、梁や柱の継ぎ目に刻みを入れていました。
「蟻継ぎ」「鎌継ぎ」「追掛大栓(おかっけだいせん)継ぎ」。これ、いずれも接ぎ方の名称です。

梁と柱が抜けないように、継ぎ目には複雑な幾何学模様の切り込みを入れます。
機械も使いますが、ほとんどが手作業。前回ご紹介した、私たち夫婦が宮城県で伐採した木もありました。

67歳の藤野さんは大工歴半世紀余りのベテランです。
20年ほど前から、工場でのプレカットが主流になり、手刻みの出番はすっかりなくなりました。
手刻みのできる大工さんは今ではほとんどいないそうです。

藤野さんは天然住宅の依頼を受け、最近手刻みを再開しました。
「昔は機械がなかったからずいぶん時間がかかったよ」と、人懐っこい笑顔で当時を振り返ります。

ブランクがあっても、手刻みの技術は、藤野さんの体に染みついているようです。
 
不思議な縁を感じたのは、この作業場が私の実家のすぐ近くだったことです。
40年以上前の高校時代、近くの駅まで毎日自転車で通いました。そのころ既に藤野さんは仕事を始めています。どこかですれ違っていたかもしれません。

家づくり決断の決め手とは


早朝から始まった上棟は、順調に進みました。
ところがお昼過ぎ、藤野さんたちの動きが止まりました。少しだけ調整が必要になったそうです。
 
藤野さんは90度に曲がった金属製の物差しを持ち出し、その場で寸法を測り始めました。しばらくすると、のこぎりを使って継ぎ目を削り直しました。
 
そして午後1時過ぎ、すべての柱、梁が無事、組み上がりました。
工場ではなく、まさに人の手で家が造られていく様子を目の前で見ることができました。

家造りは決断、選択の連続です。どの工務店にお願いするか、外壁は何色にするか、カーテンは二重にするか…などなど。大きいことから小さいことまでいろいろあります。
 
私たち素人にとっては、わからないこと、迷うことばかりです。
ネットでもいろいろな情報が飛び交っています。高い買いものだけに、慎重にもなります。

では、決断の決め手はなんだろう、と考えると、結局、「人」ではないか、という気がします。
細かい技術的なことは完全に理解できなくても、何度か会えばその人が信頼できるかどうか、誠実かどうか、熱意があるかどうかはわかります。

伐採から、設計、建築まで、それぞれの段階で作業してくださる方々の顔が浮かぶのは素晴らしいことです。上棟式の日には、電気工事、水道工事のご担当者にもご挨拶できました。
 
藤野さん、みなさん、引き続きよろしくお願いいたします。
暑い日が続きます。水分を十分に補給し、くれぐれもお体に気を付けて。

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