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【建てるヒト】木を見て森を知る 〜家づくりの意味とは〜 (完成編)

 
定年退社を機に、天然住宅さんに家づくりをお願いした黒田と申します。

これまで3回にわたり、私自身が家づくりで感じたことをお伝えしてきましたが、今回はいよいよ完成編です。

新居が完成した今、これまでのプロセスを振り返りながら、私にとっての家づくりがどのような意味を持つものだったのか、感じたことを綴ります。

手を動かしながら思い返す、4年越しの家づくり


新居が完成し、引き渡しを終えたこの日、私たちの家づくりの最後のイベントがありました。

水回りを中心に1階の床に蜜蝋ワックスを塗ります。天然住宅さんから5人、私たちの友人1人も「蜜蝋部隊」として手伝いに駆けつけてくれました。
 

 
黄色いバターのような蜜蝋ワックスをスポンジに取り、薄く、薄くのばしていきます。真新しい無垢材の木目に蜜蝋が染み込み、しっとりと濡れたように光ります。自然素材で害はなく、撥水効果があるそうです。
 

 
天然住宅さんに最初に相談にうかがったのは2020年の春でした。コロナ禍と転勤による3年間の中断をはさみ、再開してから1年ほど。長かった気もしますし、あっという間だったようにも思えます。

2週間に一度の打ち合わせ、伐採体験、手刻みの見学、上棟式…。約1時間、蜜蝋ワックスを黙々と塗りながら、この間の出来事が思い出されました。
 

職人たちの技と想いが宿る家


家には、いろんな人の思いが詰まっています。完成後、設計の小野寺さん、神山さんから聞いた話は目からうろこ、「ここまで考えているのか」と感慨深いものがありました。

たとえば神山さんがブログ「設計士の日々」に書かれている照明器具の設置場所もその一つです。壁付けの照明は向かい合った壁に等間隔で設置すると「リラックスできる空間」になるそうです。

私たちには、そうした発想はありませんでした。
 

 
棟梁の藤野さんは、人目に触れない押し入れ内部の板も、細かい技術を使って削ってくれていました。

これも完成後に知りました。ほかにも私たちの気づかないところで、さまざまな知恵や工夫が凝らされているのだと想像します。

家づくりを経て、思うこと


 
何の気なしに聞いていた天然住宅さんのポッドキャストの言葉が印象に残っています。

大量消費社会にあって、地球環境、健康を考えて作られている衣類や食品が少なからずあります。多少値段が高くても、それらを選んで購入するとき「ありがとうございます」という気持ちになる、というのです。ただ消費するのではなく、購入することによって環境や社会に貢献できるからです。私たちもいま、同じ気持ちです。
 
少し気になるのは、工事のために切らなければならなかった庭木たちです。狭い庭でしたが、数十年、根を張ったものもありました。森を守るために家を建てながら、私たちの都合で切ってしまったことにやや後ろめたさを感じます。改築の際、庭木も救う方法があればいいのにと願うのは、感傷的にすぎるでしょうか。
 

 
数日後には家具を運び込み、新しい生活が始まります。しばらく住むと、ここをこうしておけばよかった、ああしておけば、と思うことがあるかもしれません。家は100年変わらず建ち続け、私たちが変わる(老いる?)のですから仕方ありません。

人生に変化があるたび、家と折り合いをつけながら暮らしていく。それを楽しみたいなと考えています。
 
ありがとうございました。
 

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◎家づくりは生き方だ!アウトドア一家が綴る家づくりストーリー
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◎建主発行!家づくり新聞
◎斉藤さん家の家づくり
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