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自宅の完成見学会|田中優コラム #37

急いては事を仕損じる



我が家は建つまでにほぼ一年かかった。肝心の大工さんが忙しかったり、木材 の刻みが順番待ちで時間がかかったりしたせいだ。おかげで3月に古民家を取 り壊して、夏場には完成するだろうから夏の衣類を物置にしまったままにしてい たが、夏の衣装どころか翌年の冬の衣装まで必要になってしまっ た。しかしぼくは意外におおらかな性格なので、『まぁ、仕方ないかな』と思っていた。おかげで完成見学会をしたとき、逆に本当に家に住めるのが信 じられない気持ちになっていた。『えっ? 住んでいいの?』という感じだった。

それほどではなくとも、家は急いで作ってもらわない方がいいように思っている。文字通り「急いては事を仕損じる」と思うからだ。

完成見学会



完成見学会を広報すると、さっそくたくさんの人たちから見に行きたいという 連絡が相次いだ。『田舎のちっぽけな家なのに、よく見に来てくれるも んだ なぁ』というのが正直な感想だ。しかしどんどん参加者数が増えていく。さすがに不安になって建ててくれた『ウエイクホーム』の延藤さんに相談してみた。

「困りはしないだろうから制限しなくていいんじゃないですか?」という意見で受け入れていった。するとこんな田舎の小さな家の見学会に、100人ほどの人た ちが集まることになってしまった。家だけでは入りきらない。近くの集会所を聞いたら『前例がないから』と言われてしまった。なんだか人数が多いので警戒された感じだ。『別に一揆を起こす相談じゃないのにな』と思いながら、市の公共施設の会場を借りた。

ぼくがまずレクチャーし、その後に家まで10分ほど歩いて見学に行ってもら う。レクチャーに質問のある人に残ってもらい、質問のない人には先に家に行ってもらうことにした。現場には延藤さんに先に行き、二手に分けて対応す る。午前の部で50人、午後で50人、そして先発隊が25人で後発隊が25人、これで全体がうまく流れる仕組みにした。

岡山で天然住宅建築を



どんな実験をしたかスライドで見てもらい、実際に小さな家を見てもらって質問してもらう。意外なことに、来てくれた人たちの満足度は高いものになった。見学会には遠く、千葉や鹿児島からの人たちも来てくれていた。

お越しいただき、本当にありがたいと思う。うちお二人は、この岡山で天然住宅を建てたいという希望があった。太陽光発電とバッテリーで電気を自給する 『自エネ組』の主催者の大塚尚幹さんは、避難するまで福島で一級建築士として事務所を開いていた。その大塚さんが建て方を引き受けてくれた。これで岡山周辺でも天然住宅を建てられる。しかし問題もあった。木材の低温乾燥ができる 製材所がないのだ。そこで大塚さんと一緒に、はるばる石川県まで低温の木材乾燥炉に見学に行くことになった。(つづく)

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