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ネオニコ住宅の恐怖|田中優コラム #39

シロアリ駆除剤



先日、ネオニコチノイド農薬の問題に関する助成金の審査で、その農薬によっ て健康被害を受けてしまった人の話を聞いた。家のシロアリ被害を恐れて撒い た防蟻剤によって、奥さんは化学物質過敏症になってしまい、本人も不調を訴えていた。ところがその人は、かつて製薬会社で研究者をし、今はある大学の教授をしていた。自らの専門分野でもあったために、自分事として初めて調べた。 すると驚いたことに、床下にシロアリ防除薬を撒いただけなのに、二階の部屋のハウスダストからも防蟻剤が検出される。その殺虫剤こそがネオニコチノイド 系の農薬、『イミダクロプリド』だった。

そこで彼は、このよく使われる殺虫剤に対して徹底的に調べることにしたのだ。

身近に潜むネオニコチノイド系殺虫剤



ネオニコチノイド系殺虫剤は、人体に被害が少ないと謳われている。しかし現在ではそれが脳神経に悪影響のあることが認められている。特に脳の 『海馬』 や『偏桃体』部分に。なぜならそこには害虫に作用して殺すための標的である受容体、『アセチルコリン受容体』があるからだ。そして被害は鬱などの情動や短期記憶に影響を及ぼす。ある症例では、親が子に健康のためにと果物とお茶を毎日与えていた。その結果、中学生だった少女は学年で最も成績の劣る子になってしまった。ついに眼球が異常に動くようになって眼科に受診し、そこからネオニコチノイドに詳しい臨床医のところに回され た。その先生のおかげで原因がわかり、果物とお茶は国産のものは摂らないようにと指導された。日本は農地の単位面積当たりの農薬散布量で世界第三位、特に果実とお茶にはたくさんのネオニコチノイドが使われているのだ。

以来彼女は眼球の動きの異常が治るだけでなく、どんどん成績が向上していき、ついに学年でトップになった。私たちは知らずに摂った薬物のせい で、どれほど狂わされていることだろう。

化学物質過敏症



その殺虫剤は、建材にもたくさん使われている。虫に食われては困るからと、ベニヤ板や集成材、断熱材などにたっぷり使われる。さらにシロアリ防除に撒かれるわけだ。その先生は専門家であったおかげで、『イミダクロプリド』が分解された後の化学物質もきちんと調べられる。困ったことにネオニコチノイド では分解された後の成分も有害で、ものによってはもともとの成分以上に有害になることもあるのだ。

その家は住めなくなってしまったそうだ。そのため今は二重の住宅費負担を強 いられているそうだ。そうした事例は少なくない。しかし一番気づきにくい問題は、奥さんが陥った化学物質過敏症は仮病扱いされることだ。しかしおかしいと感づいたご主人は、奥さんを北里病院に連れていった。日本でほとんど唯一、化学物質過敏症の診断のできる病院なのだ。結果は化学物質過敏症だった。 他の病院ではおそらく『神経症』と診断され、仮病扱いされ ていただろう。

現在、建物の中のネオニコチノイドは野放し状態にある。だから「24時間換気で排出する」のではなく、そもそも使わないことが大事なのだ。

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