面談の一コマ
先日天然住宅の面談をしていて、「ところでこのベランダ、必要なくないですか?」とこちらから質問した。天然住宅の設計側も相手側も一瞬凍りついたようになり、「そういえば…要らないですね」と建て主さんが先に答えた。
というのはその家の場合、敷地がかなり広くて南側に庭があり、わざわざベラ ンダを作る意味がわからなかったからだ。洗濯するのは一階風呂場の隣の脱衣 場で、わざわざ二階まで洗濯物を干しに行かなくても庭で干せる。ところが「盲点でした。家を建てると言えばベランダはあるものと思い込んでいて」と。設 計側もまた「そういえば不要ですね」と言い、「ベランダをなくせば費用も少な くてすみますよね」と確認すると「なります」という返事 だった。
要は頭の中の家のイメージに、ベランダがセットされてしまっていたのだ。
岡山の自宅のベランダ
なぜぼくがそう思ったかというと、我が家はベランダをつけなかったからだ。 160坪の敷地に建て坪13坪だから、一階にはかなり広々した南向きの庭がある。 相談した地域の友人の工務店は、「これだけ敷地があったらベランダは使わないですよ」とアドバイスしてくれた。ぼくはなおも抵抗し、 「でも夏場にビールを飲むのに」と言ってみたが、「それなら一階の庭先のウッドデッキを使った方がいいですよ」と言われた。
そして提案通り家ができてみると、ベランダはまったく不必要なものだった。 一階の洗濯機からわざわざ階段を上がって二階に干すのは現実的ではない。勝手口を開けばウッドデッキだし、その先に広々した物干し場があるのだから。
先入観的設備
ぼくに常識がないのが幸いしたのかもしれないが、家には不要な設備が意外とある。我が家の玄関に立派な下駄箱が作り付けでできた。靴を入れる場所なの だが、無垢のスギ板を使ったかなり素敵な棚だ。そこに汚れた靴を入れる気にはならなかった。スギに土足は合わないと思う。その代わりに北側の涼しい位置を利用して、今や食品ストッカーになっている。スギに包まれた食材は、腐敗しにくく長持ちするからだ。
思い込みを捨てれば、もっといい使い方ができそうだ。