国産松専門 自然乾燥専門 天然乾燥専門
日本とドイツの大工の「凄ワザ」での競争の話をしてきたが、その対戦にアカマツの木材を提供したのが山崎木材(有)で、そこの「製材ブログ」なるものがあった。ブログによると山崎木材は「三重県伊賀地区」にあり、「地松天然乾燥専門店として創業65年」だそうだ。そこに書かれているが、「国産松専門 自然乾燥専門 天然乾燥専門のカテゴリー」で調べても、全国に山崎木材と、あと一社しかないそうだ。このブログを合わせて読むと面白い。
http://jimatsuyama.sblo.jp/article/175080476.html
http://jimatsuyama.sblo.jp/article/175093966.html
自然乾燥のアカマツ
感心したのはアカマツは当然冬伐りしたもの、それを3~10年も天然乾燥させたものであることだ。写真を見る限りアオカビの色が見えるので、防カビ処理していない安全な木材だ。文中に堂々と「…地松の丸太梁の映像で、国産松の芯持ち材を使用しているので自然乾燥による『干割れ(ひわれ) が入っているのが確認できます』」と書いている。木材のヒビは知られないようにするのが普通だろうが、ヒビを芯持ち材(木材の芯が入った木材)の自然乾燥の証拠として誇っているのだ。
家を建てるなら、こういう木材でないといけない。それは単に神社仏閣だけに言えることではない。家であるなら強度が弱く、仕口・継ぎ手の刻みに耐えられないほどスカスになり、かつ木の持つ大切な防虫等の効果を失った高温乾燥材など、使えるものではないと思うからだ。梁に使うのなら、やっぱりマツがいい。そもそもスギやヒノキより硬く、横方向からの力に強いのはマツだからだ。
普通の住宅、普通の木材
普通の住宅に使われるのは、防腐・防カビプールに漬けられ、高温乾燥されている。だから木の持つ防虫効果を持つ芳香成分も失ったミイラのような木材なのだ。建物が悪いものを使っていないだけでなく、より健康に良い成分を求めるとしたら、木材についてもよく理解している住宅会社でないと難しい。天然住宅は当然のこととしてこうした木材しか使わないが、私たちにとって当たり前のことを説明するのは難しい。そうでない住宅を持っていないからだ。
ドイツの大工に、日本では普通に使われる高温乾燥材を使わせてみたかった。 表面だけは割れもなくきれいに見えるが、継ぎ手を刻もうとしたら割れてしまう。実態はこっちが正しい。現時点では「日本の大工はすごい」ではすまないのだ。彼らを絶滅危惧種にしてしまった社会の側を報道してほしいと思う。