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天然住宅にすむのに必要なもの|田中優コラム #49

岡山暮らしで困ること



天然住宅仕様の我が家に住み始めて4か月、この家に住むのに何が必要になったか考えてみた。「困ること」と言い換えてもいいかもしれない。まず第一に虫対策だ。虫対策のために「虫返し」をつけ、登れないようにしていたが、それでもとても小さなアリが登ってくる。列をなしてゾロゾロと、修学旅行みたいに登ってくる。有害物質を使わない家というのは、虫にとっても居心地がいいらしい。まぁ我が家が田舎すぎて、山側から見て二軒目の家だからそうなるのかもしれない。
 
それを殺虫剤で殺したんではせっかくの安全な家が台無しになってしまう。かといってアリの行列と共存もしたくない。そこで建物の周囲にあるコンクリートの部分に石灰や木酢液、ハッカスプレー、ヒバオイル(家自体にヒバを使っているのだが)など、虫の嫌がるものを撒いた。そして室内の行列を退治した。退治するのに一番役立ったのは「コロコロ」だ。あの粘着力のある、カーペットの髪の毛取りなどに使うコロコロだ。努力の結果、ついにいなくなった。京都の四条界隈のようだった列が、今や寒村に戻った感じだ。

幸福を持ってくるツバメ



一時期はツバメに営巣されそうだった。スズメは勝手にペレットストーブの煙突の中に巣を作り、ひなを孵してしまったから飛び立つまでは我慢した。入れさせないための金網を買ってきたが、一足遅くひなを孵してしまっていた。以来、玄関先に近づくとギャーギャーと警戒の声を上げる。いつからかしなくなったので、きっと独り立ちしたのだろう。

「煙突の穴のようなものがあると、スズメが入るかハチが入るよ」というのは近所の人の談。ハチよりは実害ないのでスズメぐらい許していいのかもしれない。だけどストーブを使う時期になる前には煙突内を掃除しないといけない。

ツバメは幸福を持ってくると聞くが、ウッドデッキの真上に営巣されたのでは 他のものも持ってきてしまう。それが洗濯物に乗ることを考えるとちょっと困る。幸福と他のものとを天秤にかけた結果、窓から手を伸ばしてツバメの尾を引っ張って断念してもらうことにした。

虫対策



あとは飛ぶ虫の問題だ。梅雨に入って湿度が高く蒸した夜、網戸の外側にたくさんの虫が来る。網戸で防げるのだが、網戸の目を抜けてくる細かい虫が問題だ。網戸の目より小さい虫以外に、網戸の縁をくぐり抜けてくるカゲロウやウンカがいる。これもコロコロで取れるのだが、コロコロだと壁に跡が残ってしまう。掃除機で吸い取るのがいいのかもしれないが、掃除機は天井を吸うには適していない。個人的には天井向けの掃除機の開発が急がれている。

これまで悩まされてきたム×デは家には出なくなった。庭にはいるが、基礎と土台の間に通気層を作らなかったことと、虫返しのおかげで入ってきていない。ついでにヤモリも室内では見なくなった。餌が得られないためだろう。

必需品その1はコロコロ、その2は虫の嫌がるものといったところか。でも何より重要なのは虫を対策する設計自体だろう。さて、これから夏に向けて、戦闘態勢で臨むこととしよう。

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