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「Low-Eガラス」の功罪|田中優コラム #55

Low-Eガラス




我が家の窓ガラスには、「Low-Eガラス」を入れた。かつて高かった「Low-Eガラス」だが、今や普通のペアガラスと変わらない値段になったと聞いたからだ。自他ともに認める実験ハウスとしては、使わないわけにはいかない。暮らし始めてから半年、まだまだ不明ではあるが中間報告として聞いてもらいたい。

「Low-Eガラス」は二枚のガラスが重ねられていて、見た目には色が緑がかったペアガラスに見える。違うのはガラスの表面に特殊な金属皮膜をコーティングしてあって、主に太陽光線の暖かさである「赤外線」を透過させずに反射させて、遮熱性を高めたもの点だ。以前に住んでいた家では出始めのペアガラスを使っていたが、それとの違いは太陽光の暖かさをほとんど伝えないことだ。

陽射しの熱が入らない



するとどうなるかといえば、肌寒い春の時期、窓に暖かい日差しの射す朝に窓に近づいてもちっとも暖かくないという点だった。これはちょっと残念だ。せっかくの太陽の暖かさを感じたいのに、窓が遮るのだ。窓を開ければ日差しは当たるが、それ以上に冷たい空気が入り込んでしまう。春の始まり、晴れた朝の太陽の暖かさを使えないのだ。

しかし夏場の陽射しは全くと言っていいほど遮る。一階の窓の上には庇をつけなかったので、直射日光の暑さを気にしていたが、その心配は全く不要だった。特に我が家の場合には太陽光発電の電気を蓄電して電気を賄っているので、晴れる日は電気があり余る。庇で直射日光を遮るシェードを買おうかと考えていたのに、実際に買ったのはエアコンだった。あり余る電気を使ってエアコンを使えば、断熱は十分だった。エアコン自体はスタンダードの室外機付きのエアコンだ。その方が窓設置のエアコンより消費電力が少なく、使っていも余る電気でさらに蓄電できる。窓自体がシェードになるおかげだ。

樹脂複合サッシは是か非か



さらに調べてみると、我が家の「Low-Eガラス」は二層のガラスの間が12ミリあり、断熱性能が高いものだった。加えてサッシの枠自体が「アルミ樹脂複合サッシ」になっていた。この「樹脂サッシ」を使うかどうかは、天然住宅内でも論議になっている。そもそも「脱塩ビ」を目指していて石油製品を使いたくないと考えいるのだが、アルミだと熱を伝えすぎるのでアルミを伝って外の熱が窓枠を暖めてしまう。夏場はさほどでもないが、冬場は結露して、アングルと呼ばれる木材部分を湿らせてしまう。

樹脂サッシなら熱の伝わりが少ないので、断熱には良いのだ。そこで、ずっと「脱塩ビ」を主張しているドイツを調べてみたら、樹脂サッシばかりが採用されている。うーん、なんだか騙された気がする。我々は高いが熱伝導の低い木製サッシを探し続けていたのに。

しかしアルミの強度も捨てがたい。ドイツの採用に気抜けした我々は、最低限の「アルミ樹脂複合サッシ」もオプションとして認めようかと話していたところだった。

期せずして我が家にはそれが入っていたわけだ。工務店に「Low-Eガラスにしてくれ」とお願いしたので、一番良い性能のものを選んでくれたのだろう。その樹脂はアングル部分だけに使われている。窓の枠自体はアルミなので、冬場、そこには少しだけ結露していた。一年目は素材そのものの水分が残っているものなので、結露しやすい。次の冬にどうなるのかはこれから知ることになる。

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