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不都合を楽しむ|田中優コラム #56

『断熱内窓』を想定した窓アングル



窓自体はアルミ製だから、作冬は窓のアルミ部分だけに結露していた。しかし我が家ではそれを想定して、木製の『断熱内窓』を入れられるように窓アングルを作ってある。窓アングルを大きく取り、そこには障子が入るような溝を切ってあるのだ。もちろん最初から木製の断熱内窓を入れればいいのだが、予算の都合からカネができたら入れることにして、溝だけ作っておいたのだ。

ところが予想外に予算のせいで、断熱内窓を入れられるのはまだ先になりそうだ。でも最初から完璧でないことは気に入っている。進化の余地があることが楽しいからだ。

どうなるか、カメムシ



我が家のもうひとつの大きな特徴は「虫対策」だ。ところが友人に聞くところによれば、「どれだけ虫対策しても、カメムシだけは避けられない」という。その理由が窓の上下にある隙間部分を乗り越えて入ってきてしまうというのだ。確かにサッシを外してよく見ると、滑車のついている部分を除けばわずかな隙間がある。数ミリしかないこの隙間から入るのだとしたら、確かに「はめ殺し(ガラスをはめ込んで動かなくしてしまうこと)」にしない限り対策できないかもしれない。今度の冬に実際試してみたい。もし入るようなら別な対策を考えよう。どうなるのかちょっと楽しみでもある。

床下のシロアリ対策




家には床下の虫対策として、湿気を暖風で吹き飛ばす「ソーラーウォーマー」を設置してある。断熱したコンクリートで基礎断熱した床下には、虫が入れないように通気口すら設けていない。ところが虫は湿気が好きだ。そこで温めた空気を床下に吹き込んで、湿気を飛ばそうというわけだ。そのための電気は、ソーラーウォーマー内部に組み込まれた太陽光発電パネルの電気で賄うので、コンセントは不要だ。そもそも装置は床下暖気のためだが、我が家は床下の湿気対策として設置した。しかし夏場は必要ないので発電した電気を使って家の一番高い部分に設けられたファンを回している。室内の暑い空気を外に捨てるためだ。また寒くなれば床下暖房を兼ねて床下換気に使うことになる。これが冬場の寒さにの程度役立つだろうか。実験するのが楽しみでもある。

不都合を楽しむ



そう、結局のところ、何が起ころうが楽しみなのだ。そこが普通と違うところかもしれない。この家は服や電化製品のように、既成の商品を買った意識はない。自分で考えて選んだものなのだから、自分で何とかしようと思う。なにか不都合があったなら、それに対する対策を自分で考えようと思うのだ。

こうして自分自身で考えて建てる方法を、「分離発注方式」というそうだ。といっても形態は様々だが、自己責任で自覚してよく現場を見られるなら良い方法だと思う。我が家では家が建っていくのを見るのが楽しみでもあり、工務店が友人でもあり要所要所でどうすればいいのか聞いてくれたので実現できた。工務店との信頼関係が一番大切なのだと思う。その工務店さんには「多少の問題があっても文句は言わないが、虫が出たらクレームする」と半分冗談で話している。そんな関係が良いと思う。

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