「燻煙木材」の効果
木材の「ウイルス不活化」①で述べたのは木材の成分でウイルスを「不活化」できるという話だった。でも天然住宅の使っている木材はさらに「燻煙」してある。煙を当てて燻してあるのだ。この燻したことの効果もある。燻すことで害虫が寄らなくなるだけでなく、抗ウイルス効果もあるのだ。それがただ普通に家を建てただけのことで得られるのはとても得だと思う。それを狙ったわけではなく、昔からの技術に従っただけなのだが。
もう一つ狙ってやっていることに、透過性の高い素材を選んで使っていることがある。「適気密」と呼んでいたが、今よりも気密を上げていきたいと考えている。そうすることにより、冬場に室内温度をより保ちやすくすることができる。もちろんぼく自身も天然住宅仕様の家に住んでいて温かいが、暖房の効きがよくなれば、より暮らしやすいと思う。
何とか暖房エネルギー効率を上げていきたい。そこでウチの一級設計士が真面目に取り組んでくれている。自然素材の良さを活かしながら、気密性を上げて、より快適な状態をつくりだせるように。
透過性の高さには良い点もたくさんある。今回の新型コロナウイルス問題で「密閉は良くない」と言われるが、「密閉」空間にはならない。それ以上にありがたいのは、石油系や有害化学物質を使った一般的な高気密空間をつくってはいないので、「24時間換気」をしなくても「シックハウス」にならない点だ。
よく家の性能表示で断熱性能を示す値に「UA値」、気密性能を示す値に「C値」がある。しかし残念なことに、UA値に「換気による熱損失」は計算上考慮されない。 「UA値」が基準になる前は「Q値」というのが基準で、そこでは熱損失が考慮されていた。
熱を確保するのにビニールやベニヤ板で張り詰めてしまうのは簡単だし、それで「C値」を高めることはできる。 しかし天然住宅では、どちらも使わないことがポリシーになっている。使えば匂いがするからすぐに気づくのだ。
しかし燻煙乾燥の木の匂いが嫌だという人もいる。かつての「燻煙乾燥」と比べたら、今はほとんど匂わないのだが、それでも嫌な人はいる。それなら燻煙していない木材を用意することもできる。この燻煙の効果にも「抗ウイルス」がある。「ステイホーム」しているだけでウイルスを不活化できるなんて、とてもいいと思わないか。