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湘南発、未来へ|田中優コラム #62

湘南エリア



天然住宅で調べたら、意外と地価が安かったのが湘南エリアだった。そこに住んでいる天然住宅の建主さんは、サーフィンのできる地域としてそこを選んだ。彼は言う。「何より良いのは、この家なら子どももその次の世代も住まい続けられる。子どもに残せる家だと思うから、ローンの支払いも高い気がしない」と。
 
「誰か大切な人のため」と、「自分のため」では心持ちが全然違うものだ。それに加えて彼は、自分の大好きなサーフィンをいつでも楽しめる場所に住まいをおいた。だから彼は徒歩で行ける海を楽しんでいる。
 

木製サッシ



一方、サーフィンをしないぼくは、海が近いと津波を心配する。でも東南海地震の想定を調べてみると、津波高20メートルだったとしてもその家まで届かない。津波が来るまで、短いが少しの時間がある。その間に山を上がっていけば心配ない。
 
天然住宅なら耐震性は高いし防火性能も高い。意外に思うかもしれないが、木は燃えにくいのだ。ある友人が放火の火事にあった。逃げ遅れて子どもとともに木製サッシの家に閉じ込められたしまった。手前にあった事務所を兼ねた建物はアルミサッシを使っている。しかし自分たちが住む家の部分は、自分が趣味で木製サッシにしていた。彼女は覚悟を決め、どのように燃えてしまうのか観察することにした。
 
アルミサッシの窓はアルミが溶け落ちてしまって火が回り込んで燃え広がったが、自宅部分の木製サッシは炭化して焦げるばかりで燃えていかない。燃え落ちなかったから火が回り込むこともなく、焼け落ちることもなかった。おかげで彼女と子どもは生き延びることができた。木は焦げるから燃えるイメージを持つが、焦げるからこそ燃えないのだ。

湘南発、未来へ


さらに電気を自給して、水を自給して、エネルギーを自給したらどうなるだろう。災害時にも、びくともしない暮らしができる。しかしそれを都会で実現するには地価が高すぎる。地価が高くなければ敷地を広くすることもできるし、陽の光や風通しなどの自然の恵みを受けられる。
 
それならば、と思う。若い時点は都会に近い湘南エリアに住んで、都会を必要としなくなったら地方に住んだらいいと。
それがギャップを乗り越えるような暮らしの激変ではなくて、ほんの少しの違いに過ぎなくできたらいい。
 
インターネットの進展は、都会から住まいまでの距離のギャップを少なくした。ぼくの主宰する「未来バンク」のメンバーは、海外含めて各地に居住しているというのに、順調に業務を続けながらもう数年経つ。
でも若い時に都会に出てみることも必要かもしれない。それなら「湘南発、未来へ」という生き方もあっていいと思うのだ。

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