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おカネに頼らず暮らす|田中優コラム #63

お金依存症



人々はおカネなしに暮らせないし、おカネを稼ぐために人生があるとしても、不思議に思わないような人が増えている。でもそれは、ごく最近の常識に過ぎないのだ。ぼくはその話をするときに「フーテンの寅さん」の話をする。わずか40年ほど前の映画にすぎないのに、その中の世間はおカネが一番ではない。確かにそんな時代があったのだ。お金持ちだからとむやみにへりくだらず、お金持ちより尊敬される人格者が街角にたくさん住んでいた時代が。

そう思うと今の「おカネなしに暮らせない」という「お金依存症」の暮らしは、ごく最近生まれた病理であって、昔からあったことではない。もちろん少なすぎれば生活困難になるし、おカネは必要だが、お金依存症にならなくても生きられるはずだ。

「貯蓄できる世帯」と「できない世帯」



そこでいろいろ調べてみた。貧しさの程度の最初の違いは、「貯蓄できる世帯」と「できない世帯」の差だった。収入が同じであっても差が出る。その大きな理由のひとつが、契約を見直していない携帯電話と生命保険だ。それらは天然住宅のスタッフも相談に乗っているが、見直すだけで支出を大きく減らすことができる。

もうひとつ大きいのが「機能の重複」だ。ニュースを知りたいとして、「テレビ、ラジオ、新聞、インターネット」のすべてが必要だろうか。また、固定電話と携帯の両方を持つ必要があるだろうか。機能の重複を避けることで、支出は大きく減らすことができ、貯蓄できる可能性が高まるのだ。

住宅費の比率




貯蓄できる世帯になったとして、次に最も大きな支出負担となるのが住宅費だ。「貯蓄できている世帯」の平均で見ると、実に支出の四分の一を占めるのが住宅費になっている。一方、ヨーロッパやアメリカでは、住宅は長く使うもので、ローンの返済をとうの昔に終えている住宅に暮らしている。むしろ古い建物の方が高くなることすらある。GDPが日本人よりはるかに少ないのに、ずっと豊かな暮らしを実現できているのはこのせいだ。日本は欧米と比べると、「住宅貧乏」なのだ。

これを長持ちする住宅に入れ替えると、暮らしの費用はがぐっと減る。これだけで四分の一の支出が不要になるのだ。我が家は住宅ローンを断られたために、ちょっと無理して現金で買った。すると現金での支出もまた減った。

そのことで実感した。私たちは「住宅ローンの奴隷」になっていたのだと。その奴隷は自分の世代で終わりにしたい。「お金に頼らない暮らし」の第一の方法が住宅だった。平均15年で価値がゼロになり、30年経たずに建て替えなければならない家が、私たちを貧しくしているのだ。
住宅貧乏を超えるには、まず使い捨ての家を見直さなければならない。

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