自給するパーティ
天然住宅で新たに進めているのが「自給の家」だ。ガーデンパーティーを我が家でやった話を前回したが、その費用は食事代込み、飲み代別で1500円だった。食事は和気の地元で活動する「和気で楽しいことしよ」グループが作った「和菜食堂」が提供してくれた。 その昼食をみんなにたらふく食わせた後、バーベキューで単価の高い焼き肉などを焼く。今度は我が家で冷やしたビールを売ろうかなと思う。
音楽流して水をたっぷり使って、温水プールまで使っても光熱費はゼロだ。だって我が家は水も温水も電気も自給しているから、特にカネを払わなければ手に入らないというわけではないからだ。その日は晴れたから、電気はそれでもあり余ってしまっていた。
「たべるにわ」プロジェクト
食材は、地域の人が無農薬で育てた野菜がふんだんに使われていた。この食材に今度は我が家の庭の野菜も提供したい。今作り始めたのはナス、ピーマン、トマト、エダマメ、キュウリ、サツマイモ、スイカ、カボチャ、ネギにパセリなどだから、うまくいけば提供できるだろう。でも本当はぼくの庭で成功しなくてもいい。今の時点でも食材の野菜は、近くの人の庭で採れたものだからだ。初心者マーク付きのぼくでなくても、野菜育成のプロ、トレーナーみたいな人たちがたくさんいるのだ。もちろんその人たちはカネを受け取るはずもなく、楽しみで提供してくれる。
これを天然住宅でやってみたい。今後進めていくのは「自給の家」だが、電気などは費用さえあれば自給できる仕組みにはなった。だけど家を建てたばかりの人に余分な費用負担は厳しいから、食べ物の自給をできるようにしたいのだ。名付けて「たべるにわ」だ。
というのも家を建てるには、付帯設備を含めれば半年近くかかる。「半年」と言えば、土作りにかかる期間とほぼ同じだ。だから家を建てると同時に土作りを始めて、入居と同時に作物を植えられるようにしたいのだ。それが「たべるにわ」プロジェクトだ。
吉田俊道さんの菌ちゃん農法で
先日、天然住宅の実習セミナーとして、「菌ちゃん農法」で何度も紹介している吉田俊道さんに来てもらって土作りの実地研修をした。農業となると、吉田俊道さんは厳しいのだ。事前の準備などに厳しい指摘があった。もっと水はけを良くするために溝を深く掘っておかないとダメだ、刈った草をたくさん集めておいて米ぬかと混ぜ込んでおかないと…等々。そうやって今、天然住宅の建築家たちは家だけでなく「たべるにわ」作りの設計士になりつつある。
▲吉田俊道さんによる、菌ちゃん農法の実地研修
大切なのは楽しみながらすることだ。義務で「家庭菜園設計」なんかさせられたら、嫌になって家出するまでのタイマーがセットされてしまう。楽しんでするから面白いのだ。そしたら他の人に「(にやっとしながら)つまらないものですが」と「一応、無農薬・有機ですから安心です」と野菜をプレゼントできるようになる。たいがいお返しが来る。もっとプロフェッショナルな作物が届くかもしれない。下心に胸躍らせながら、贈り物をする日を、今から楽しみにしながら「たべるにわ」を作る。
そんな家がいいと思うのだ。