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我が家の庭でBBQ|田中優コラム #79

移住相談員



岡山県は震災後の転入者が非常に多いところだ。原発もなく台風も通らず、地震の活断層も少ないことが人を呼ぶようだ。かくいうぼく自身もそこに惹かれたのだが。おかげで転入者が非常に多い。加えて人間関係がベタベタしておらず、あっさり と受け入れてくれる点もありがたい。それは転入してから知ったことだが。

我が家は5年前に転入したから少しだけ先輩なのだ。そのせいで、こちらの友人もたくさんいる。転入したばかりの人たちは大変だ。ほぼ同時期に転入してきた飯豊さんは、町に転入促進を訴えて制度を作った。ついでに担当者になってくれてた。彼は町の車を転入者のために一台確保し、身一つで来てくれれば町を案内する。宿や空き家まで紹介してくれる。こんな面倒なことを楽しみながらしてくれる彼は、移住相談員の鑑のような人なのだ。その彼がBBQの主宰をしてくれている。このイベントも、転入してきた人たちと地元の人たちとが出会う機会として企画している。場所は「広い敷地に小さな家」の我が家が選ばれ た。おかげで我が家の庭はたくさんの人が集まる場となったのだ。総勢60人、その半数が子どもだ。

我が家は『こんな暮らしもできますよ』というモデルルームのようになっている。水は井戸で自給、電気は太陽光発電とバッテリーで自給、しかも化学物質や電磁波が最小限の家なのだ。


転入者とBBQ



ぼくはこういうガチャガチャした集まりが好きだ。費用は自分の飲み物代別で1500円、バーベキューとマクロビに近い昼食がつく。世話好きな飯豊さんは、一日中誰かに誰かを紹介している。

我が家でする理由のもう一つが、晴れていれば全く費用が掛からないことだ。どんなに水を使おうが電気を使おうが、晴れていればあり余る。だから経済的に負担がないのだ。昼近い時間になるのを 待ちかねて、小さな幼児用のプールを出してきて太陽温水器からの温水を入れた。暖かいとはいえまだ4月後半、それでも子どもたちは水遊びを楽しんでいる。転入者には若い世代が多く、田舎では珍しく子どもたちの歓声が上がる。子どもの歓声は、それだけで町が活気づく。子どもの存在が、人と人を近づけてくれるのだ。子どもたちは水から上がると、今度は庭にハンモックを吊ってもらって遊んでいる。いろんな大人たちが子どもたちと遊んでいる。こんな場が作れて、家主としては建てて良かったと思う。

岡山県和気町への転入



もっと小さな子どもを抱えたお母さんたちは、室内に入って女子会をしている。これが一番有益な情報交換かもしれない。予防接種を受けていなくても怒らない医者はどこか、無農薬の野菜はどこで買えるかとか、情報交換しているのだ。

何より地元の人たちの控えめな親切さがうれしい。決して押しつけがましくなく、いろいろと世話してくれる。当日も地元の人たちが庭から取ってきたという野菜が、食べきれないほどの出された。越してきたばかりの頃、地区の集まりで言われたことがある。「田中さんも家を建てて住みつくようだし、こちらのルールに従ってもらわなくちゃな」と。

「家の前に取れ過ぎた野菜が置いてあるかもしれんが、不審がらずに何も言わずにもらってな」というものだった。この岡山県和気町への転入は成功だったと思うのだ。

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