固練りのコンクリート
基礎に使うコンクリートは「水セメント比」を50%以下にして、固練りのコンクリートにしていることは以前紹介した。普通の建物が50年程度しか耐久性がないのに対し、水を少なく施工するだけで300年持つコンクリートにしていると。どこまでも耐久性を高く建てているのだ。それは住み継ぐことのできる建物にして、ただの仮設住宅のような家ではなくて、何世代も家を建て替えずにすむ住宅を届けたいのだ。
根本的に、日本人が収入が多くても貧しいのは建物が長持ちしないものだからだと思う。だから30年も経たずに建替えて、大きな支出を強いられる。そうでない建物を持たなければ、永久に日本人は貧困から脱せなくなってしまうのだ。
神戸に新築した天然住宅
先日、神戸に新築した天然住宅仕様の住宅の見学会をした。天然住宅から遠い場所なので、そこで使える天然乾燥で防腐剤を使っていない木材を探し、きちんと建てられる大工さんを探し、そして建てた。
そして見つけたのが「サウンドウッズ」(有限会社ウッズ)さんが見立てた木材と、そこが紹介してくれた大工さんだった。なんとその大工は今時珍しい「宮大工」だった。家を見てみると、細部まで細やかな神経が行き渡っている。節の目立たない木材を使い、障子の桟には竹を貼り、虫を寄せつけない赤身・黒芯と呼ばれるスギの芯の部分をふんだんに使っている。継いだ木材の仕口には「金輪継」を使い、細やかにどこまでも金属を木材の内側にで封じ込んでいる。
予算が許すならば、天然住宅もここまでできるのだという事例だった。心地良さは一段と高まっていた。我が家が色褪せて見えてしまったのは残念な体験だったが。
活断層型地震
そのお宅は神戸の有馬温泉の近くにあり、ぼくが阪神大震災のときにサポートに来た地域だった。そうすると震災を心配するかもしれない。しかし日本を襲う地震は大きく二つに分けられて、海溝にプレートが沈んでいくときに起こす「海溝型の地震」と、活断層によって引き起こされる「活断層型地震」とがある。東日本大震災のような海溝型地震はプレートの動きによって100年~200年に一度起こるのに対し、阪神大震災のような活断層型の地震は数百年から数千年に一度だ。だからこの地の地震は相当先になるまで起きない。あくまで確率の問題だが、活断層の地震は起きたらしばらく休むのだ。
だから阪神大震災の場所だからと避けて他の場所を選ぶのは、確率で考えると最も起こりにくい場所を避けてしまうことになるのだ。天然住宅の建て方では、強度が高く地震に耐えられるようにしている。しかし自然の起こすことは人智を超えるから、絶対大丈夫とは言えない。でも防災を考えるのなら、最初から強く作っている住まいを選ぶべきだと思う。